ビザンチン哲学(読み)ビザンチンてつがく(英語表記)Byzantine philosophy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビザンチン哲学」の意味・わかりやすい解説

ビザンチン哲学
ビザンチンてつがく
Byzantine philosophy

ビザンチウム (コンスタンチノープル) を中心にして発展した新プラトン主義を標榜する哲学をいう。6~7世紀頃のビザンチン帝国の自立と,キリスト教化によって興ったもので,アレクサンドリア学派を通じてギリシア文化の影響を受け,ラテン文化の伝統に立つ西方文化圏とは思想的に異なる性格を示した。アレクサンドリアのオリゲネスやカイザリアのエウセビオスを継いだガザの教父プロコピオス,ビザンチウムのレオンチウスダマスカスヨハネを先駆者とする。彼らは新プラトン主義哲学に立ちながらもアリストテレス哲学を援用してキリストの神性などを論証し,西方の神秘神学者やスコラ学者に多大な影響を与えた。その代表者はフォチオス,M.プセロスニケフォロス・プレミデスであった。このほかにディオニュソス的神秘思想の傾向をもつものもあり,11世紀にはシメオン,14世紀にはグレゴリウスパラマス,ニコラオス・カバシラスが出た。 15世紀ビザンチン帝国の衰退とともに研究者は西方に移り,ベッサリオン,ゲオルギオス,プレトンなどにより西方ルネサンスが用意された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報