日本大百科全書(ニッポニカ) 「パラマス」の意味・わかりやすい解説
パラマス(Gregorios Palamas)
ぱらます
Gregorios Palamas
(1296―1359)
ギリシアの東方正教会の神秘主義神学者。テサロニケの大主教(1347~1359)。アトス山の修道士のとき、当時アトス山で盛んに行われていた呼吸訓練などの禁欲的修行によって神との神秘的な合一を得るという静寂主義(ヘシカスモス)を体得した。そしてこれを神学的に解釈し、静寂主義を異端と考えるカラブリアの修道士バルラアムらBarlaam of Calabria(1290ころ―1348)と論争した(1340)。パラマスによると、聖書に書かれているイエスの変貌(へんぼう)(「マルコ伝福音(ふくいん)書」9章2以下)の際に出た光は神のエネルゲイアで、人間はこのエネルゲイアによって神と合一できるという。彼の理論は最終的に正統性を認められ(1351)、東方正教会の静寂主義の発展に寄与した。
[山川令子 2018年2月16日]
『森安達也著『世界宗教史叢書3 キリスト教史Ⅲ』(1978・山川出版社)』▽『E. Kadloubovsky, G. E. H. PalmerEarly Fathers from the Philokalia (1954, Faber & Faber, London)』