ピマーイ寺院(読み)ピマーイじいん

改訂新版 世界大百科事典 「ピマーイ寺院」の意味・わかりやすい解説

ピマーイ寺院 (ピマーイじいん)

タイ中東部,バンコクの北東270kmのピマーイPhimaiにあるクメール寺院の遺跡。〈タイのアンコール・ワット〉と俗称される。アンコール朝の11世紀,スールヤバルマン1世の治世に建てられた。砂岩製ブロックとラテライト(紅土)製ブロックを積み上げてできているこの寺院は,入口を南に向け,一番外側の土壁は方形で520m×280mあり,その内部には方形で128m×100mの赤色砂岩製の囲壁がある。囲壁の内部に砂岩製の回廊(72m×50m)が設けられ,この方形の回廊の内部中央に中央塔堂がそびえ立つ。寺院の本尊密教の降三世明王(ごうざんぜみようおう)で,中央塔堂内部の楣(まぐさ)には密教の神々が,外側の楣には《ラーマーヤナ》が,それぞれ浮彫で表出されている。境内からは,現在のアンコール・トムを造営したジャヤバルマン7世の肖像とみなされる丸彫の石像が発見された。遺跡の近くに考古博物館がある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android