ラテライト(読み)らてらいと(英語表記)laterite

翻訳|laterite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラテライト」の意味・わかりやすい解説

ラテライト
らてらいと
laterite

サバナ地域で、地表付近にれんがのように固まった鉄・アルミナの集積物。紅土ともいう。熱帯地方の高温多雨気候のもとで風化が十分に行われると、土壌の母材中の主要な成分であったケイ酸塩類が分解されてケイ酸が分離流下し、鉄・アルミニウムの酸化沈積物がほとんど土壌の全層を占めるようになる。サバナでは雨期に激しい加水分解によってカリウムカルシウムの塩基類が完全に溶脱したあと、乾期に土壌水分の急激な上昇がおこり、地表付近に鉄やアルミニウムの三二酸化物が集積する。これが固い盤層を形成しクラスト(殻)となって、ラテライトとよばれる物質となる。鉄酸化物がヘマタイト赤鉄鉱)であれば赤みの強いれんが状の塊で紅土ともよばれるのにふさわしいが、アルミニウムの含量が多いものは灰褐色を呈している。

 ラテライトは土層内に生じた土壌物質の一つであるが、植物養分を欠き、耕作を不可能にする固い膠着(こうちゃく)物で、開発の障害となるが、その固さを利用して建築材料に用いたのがインドなどでの習慣であった。アルミニウムに富む場合はボーキサイトとよばれる鉱床となり、インド、東南アジアアメリカなどのアルミニウム資源の産地を形成している。

[浅海重夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラテライト」の意味・わかりやすい解説

ラテライト
laterite

紅土ともいう。熱帯地域に分布する赤褐色の土壌。地表の風化物として生成された膠結物質で,鉄とアルミニウムの水酸化物を主成分とし,ケイ酸分や塩基類の溶脱作用を経て生じた。主要構成鉱物は針鉄鉱,ギブス石,ベーム石,ダイアスポアインドシナ半島,インド,キューバなど雨季の明瞭なサバナ気候地域に広く分布。やせ土で農耕には障害となるが,インドではラテライト土壌である赤土を切って乾燥して煉瓦をつくるが,ラテライトの語源はこの煉瓦という意味のラテン語 Laterに由来する。

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