フォーマル組織(読み)ふぉーまるそしき(その他表記)formal organization

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォーマル組織」の意味・わかりやすい解説

フォーマル組織
ふぉーまるそしき
formal organization

企業や官公庁などの組織の仕組みのうち、公的な制度として定められている部分をいい、インフォーマル・グループとの対比で用いられる。そこでは、各成員の職務権限、仕事のやり方や他の成員との関係が成文化された規則で明示されており、成員の個人的欲求充足よりも組織目標の達成が重視され、能率本位の合理的な組織が計画的につくられる。機械化が進み規模が拡大し、分業も高度化した近代組織では、特定個人の恣意(しい)や能力に左右されず、安定した予測可能な効率のよい活動を保証するためにフォーマル組織は不可欠である。官僚制的組織は、その典型的な具体例である。

 ただ、現実の組織は、フォーマル組織と、そのなかで人々が個人としての属性態度の触れ合いを通じて自然発生的につくりだすインフォーマル・グループとの複合であり、最近は、この両面葛藤(かっとう)と調整を総合的にとらえる行動科学的組織論が有力である。

[杉 政孝]

『A・エツィオーニ著、渡瀬浩訳『現代組織論』(1967・至誠堂)』

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