プラストキノン

化学辞典 第2版 「プラストキノン」の解説

プラストキノン
プラストキノン
plastoquinone

緑色植物藻類に存在し,ユビキノンに類似の構造をもつp-ベンゾキノン誘導体.現在はn = 9,8,4,3などの物質が知られている.光合成における電子伝達系の補助色素といわれる.とくにn = 9のものはプラストキノンAとよばれる.C53H8O2(749.21).融点48~49 ℃.λmax 255,262(sh)nm(エタノール).緑色植物や藻類で可逆的な酸化還元反応や光合成における電子伝達に関与している.このほか,ブラストキシンB,C,Dなどが知られているが,これらはnの数が異なるだけでなく,キノン核の置換基の異なる誘導体の混合物である.[CAS 4299-57-4]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プラストキノン」の意味・わかりやすい解説

プラストキノン
plastoquinone

植物の光合成の電子伝達系における電子担体の一つ。代表的なプラストキノンAはパラキノンのジメチル置換体に長い側鎖のついた構造で,(CH3)2C6HO2(CH2CH=CCH3CH2)nH(n=9) と表示される。このほか,プラストキノンB,C,Dなどと称されるものは置換基や n の値の異なるものの混合物である。酸化還元電位は+0.1V程度で,光合成系Iと IIをつなぐ電子伝達系上でチトクロム b3 とチトクロムfの中間に位置する。構造および電子伝達という機能の点で,動物にも広く存在するユビキノン (補酵素Q ) と共通点をもつ。

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世界大百科事典(旧版)内のプラストキノンの言及

【キノン】より

…ヒドロキノンはまた容易にキノンに酸化され,この可逆的な酸化還元系(化学式)は,生化学的にも工業的にも重要な役割を果たしている。たとえば,ユビキノン(補酵素Q)やプラストキノンは,呼吸代謝や光合成における電子伝達系として働いている。また染料工業においては,キノンの還元と再酸化の現象を建染染料による染色の基礎として用いている。…

※「プラストキノン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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