ユビキノン(読み)ゆびきのん(英語表記)ubiquinone

翻訳|ubiquinone

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユビキノン」の意味・わかりやすい解説

ユビキノン
ゆびきのん
ubiquinone

広く生物界に存在する化学物質で、生体内の酸化還元反応に関与する電子伝達物質の一つである。補酵素Qともよばれる。物質的にはベンゾキノンの誘導体で、側鎖のイソプレン単位の数(n)は生物の種類によって異なる。ヒトウシではn=10であり、ネズミn=9で、下等生物ではn=6~9となっている。いずれも水に不溶、脂溶性である。ミトコンドリア内膜に局在する。電子伝達複合体ⅠおよびⅡから還元力を複合体Ⅲに運ぶ役割を果たす。酸化型をQで、還元型をQH2で表す。電子伝達系の複合体Ⅰ(NADHデヒドロゲナーゼ。正式名はNADH-ユビキノンオキシドレダクターゼ)では、NADHに由来する2電子分の還元力を受け取りQH2となる。複合体Ⅱ(コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体。正式名はコハク酸-ユビキノンオキシドレダクターゼ)では、コハク酸に由来する2電子分の還元力を受け取りQH2となる。QH2はミトコンドリア内膜上を拡散して、複合体Ⅲに2電子分の還元力を渡す。この還元力は次の電子伝達体であるチトクロムcに渡される。酸化還元電位は25℃、pH7.4で約0.10ボルトである。ユビキノンは動物体内でも合成され、ベンゾキノン部はフェニルアラニン、イソプレン部はアセチル補酵素Aから合成される。

[笠井献一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユビキノン」の意味・わかりやすい解説

ユビキノン

補酵素Q」のページをご覧ください。

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