プラテレスコ様式(読み)プラテレスコようしき(その他表記)Estilo Plateresco

改訂新版 世界大百科事典 「プラテレスコ様式」の意味・わかりやすい解説

プラテレスコ様式 (プラテレスコようしき)
Estilo Plateresco

16世紀前半のスペインルネサンス建築様式。ゴシック様式の構造体にルネサンス装飾を施す形で始まった。いわば,イスラム的空間感覚によるルネサンス建築装飾の展開といえるもので,名称のプラテレスコは,その豊かな薄浮彫装飾が銀細工(プラテリーアplatería)を想起させることに由来する。広義には,アルハンブラのカルロス5世宮殿のような,純イタリア様式が現れるまでのスペイン・ルネサンス建築を指す。代表作はサラマンカ大学ファサード,アルカラー・デ・エナレス大学のファサードなどである。
スペイン美術
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プラテレスコ様式」の意味・わかりやすい解説

プラテレスコ様式
プラテレスコようしき
Plateresco; Plateresque

スペイン初期ルネサンス建築の装飾様式。銀細工 (プラテリア) のように繊細で豊富な浮彫装飾が建物のファサード,窓まわりなどに施された。初期の作例としてはサンチアゴデコンポステラの王立病院 (1501~11) ,トレドのサンタ・クルス病院 (05~14) ,サラマンカ大学 (16~29) がある。 D.シロエグラナダ大聖堂 (28~43) はその最盛期を示す。 1540年初めにはイタリア盛期ルネサンスに強く影響され,フェリペ2世即位 (56) 頃まで続くが,その後古典様式が取って代り,17世紀に再興した。

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世界大百科事典(旧版)内のプラテレスコ様式の言及

【スペイン美術】より

ゴシック美術ロマネスク美術
[ルネサンス以降]
 ルネサンス(16世紀)は,ゴシックとは逆に,きわめてスペイン的な様式から純イタリア様式へと展開した。これは,まずゴシックの構造にルネサンス的装飾モティーフ(円形浮彫,胸像,紋章,グロテスク文様など)をはりつけたような様式,その細工が銀細工plateríaを想起させるところからプラテレスコとよばれた様式から出発した(プラテレスコ様式)。その代表作はサラマンカ大学正面入口だが,時とともに,アルカラ・デ・エナレス大学ファサードのように構造と装飾の融合が進み,画家マチューカPedro Machuca(?‐1550)がアルハンブラ宮殿内に設計したカルロス5世宮において純イタリア様式に,そしてフェリペ2世が心血を注ぎ,エレラがその理想を実現したエル・エスコリアル修道院において厳格様式に到達した(エレラ様式)。…

【ムデーハル】より

…交差部にイスラム風採光塔が載り,その支柱はきわめて太い(ブルゴス)。16世紀,ルネサンス様式が入ってもムデーハル様式の要素は残り,構造の合理性よりも壁面装飾を好むイスラム的美の追求は装飾過剰なプラテレスコ様式となる。スペインでは歴史上,外来の様式はいずれもスペイン化されるが,その際根強い伝統となっているのがムデーハル的要素であり,19世紀末のガウディの建築にもムデーハル様式が反映している。…

※「プラテレスコ様式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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