ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フェリペ2世」の意味・わかりやすい解説
フェリペ2世
フェリペにせい
Felipe II
[没]1598.9.13. エスコリアル
スペイン王 (在位 1556~98) ,フェリペ1世としてポルトガル王 (在位 80~98) 。カルロス1世 (神聖ローマ皇帝カルル5世 ) とポルトガル王女イサベルの子。従妹のポルトガルのマリア (43) ,イングランド女王メアリー1世 (54) らと4回結婚。 1556年カルロス1世の退位により,アメリカ大陸の植民地をはじめ,ミラノ,ナポリ,シチリア,ネーデルラント,フランシュ・コンテなどの海外領土とともにスペインの王座を継承。新大陸の植民地から流入する貴金属や広大な領土を擁してスペインは未曾有の繁栄期を迎えた。 59年にはカトー=カンブレジの和約を締結し,長年続いたイタリア戦争を終結。 71年レパントの海戦でトルコに大勝し,スペインの国際的地位を高めた。しかしネーデルラントに独立運動が起り (68) ,北部7州は独立を宣言 (81) 。 80年ポルトガルの王位継承権を行使してこれを合併したが,イングランドとの戦いでは無敵艦隊 (アルマダ) の全滅 (88) により海上権を失い,大帝国衰退の第一歩を印した。一方,エスコリアル宮殿の建設 (63~84) をはじめ,絵画など美術の保護に努め,スペイン文化の黄金時代を築いた。なお天正遣欧使節の伊東満所らは,前後3回にわたってフェリペ2世に接見した。
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