日本大百科全書(ニッポニカ) 「プレミンジャー」の意味・わかりやすい解説
プレミンジャー
ぷれみんじゃー
Otto Preminger
(1906―1986)
アメリカの映画監督。オーストリアのウィーンに生まれる。マックス・ラインハルトのもとで演技、演出を学び、1935年渡米。舞台経由で映画界に入り、初めは俳優として活躍。1944年の『ローラ殺人事件』で監督としての地位を確立する。1953年以降は1本ごとの独立製作で話題作、問題作を数多く手がけた。それは彼の巧まざる商才の現れとの見方もあるが、冷徹で客観的な演出技法には定評があった。性用語の使用で話題をよんだ『月蒼(あお)くして』(1953)と『或(あ)る殺人』(1959)、麻薬中毒を扱った『黄金の腕』(1955)、黒人キャストによるミュージカル『カルメン』(1954)と『ポーギーとベス』(1959)、イスラエル建国の物語『栄光への脱出』(1960)、政治家の陰謀と腐敗を描く『野望の系列』(1962)など、作品は多彩である。
[宮本高晴]
資料 監督作品一覧
ローラ殺人事件 Laura(1944)
ロイヤル・スキャンダル A Royal Scandal(1945)
堕ちた天使 Fallen Angel(1945)
永遠のアムバア Forever Amber(1947)
哀しみの恋 Daisy Kenyon(1947)
あのアーミン毛皮の貴婦人 That Lady in Ermine(1948)
疑惑の渦巻 Whirlpool(1949)
歩道の終わる所 Where the Sidewalk Ends(1950)
天使の顔 Angel Face(1952)
月蒼くして The Moon Is Blue(1953)
第十七捕虜収容所 Stalag 17(1953)
帰らざる河 River of No Return(1954)
カルメン Carmen Jones(1954)
黄金の腕 The Man with the Golden Arm(1955)
軍法会議 The Court-Martial of Billy Mitchell(1955)
聖女ジャンヌ・ダーク Saint Joan(1957)
悲しみよこんにちは Bonjour tristesse(1957)
ポギーとベス Porgy and Bess(1959)
或る殺人 Anatomy of a Murder(1959)
栄光への脱出 Exodus(1960)
野望の系列 Advise & Consent(1962)
枢機卿 The Cardinal(1962)
危険な道 In Harm's Way(1965)
バニー・レークは行方不明 Bunny Lake Is Missing(1965)
夕陽よ急げ Hurry Sundown(1967)
愛しのジュニー・ムーン Tell Me That You Love Me, Junie Moon(1970)
男と女のあいだ Such Good Friends(1971)
ローズバッド Rosebud(1975)
ヒューマン・ファクター The Human Factor(1979)