ベス(英語表記)Bes

改訂新版 世界大百科事典 「ベス」の意味・わかりやすい解説

ベス
Bes

古代エジプトのセム系ともアフリカ系ともいわれる異形の神。大きな頭ともじゃもじゃの髪,半分舌を出した大きな口,平べったい鼻,大きく突き出した耳,長い腕,がに股の小人姿で表される。常にその名前の由来する豹の毛皮(ベス)をつけ,頭に羽根飾を付けている。戦争,殺戮と自然の破壊力の象徴として,手には刃物,ときには鎧をつけ,盾や剣を持つ。同時に音楽と踊りの神,休息,喜び,娯楽,あらゆる歓楽の神として,鏡,枕,化粧用小箱の彫刻や,陽気なお祭り騒ぎに姿を現した。また子どもや若者の守護神,安産の神でもあった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベス」の意味・わかりやすい解説

ベス
Bes

古代エジプトの神。スーダン (またはソマリア) が起源で,中王国時代に広く信仰されるようになった。竪琴太鼓を奏しながら踊ったりして神々を慰めた。また婚姻産婦の保護神でもあり,デル・エル・バハリ神殿には,女王出産に立会う姿が描かれている。化粧や装身を司ったり,夢を司る神でもある。悪霊や有害な動物 (わに,へびなど) ,負傷に対する守護神としても崇拝された。しばしば巨大な頭をもち,動物のような姿をした怪異な小男として表現される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ベス」の意味・わかりやすい解説

ベス

古代エジプトの神。スーダン起源か。豹の毛皮(ベス)をつけ,大頭短躯,舌を出した大口の異様な姿をもつ。舞踊戦闘の神,また出産・病気から女性や子どもを守るともいう。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android