ベルファスト合意(読み)べるふぁすとごうい(英語表記)Belfast Agreement

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ベルファスト合意
べるふぁすとごうい
Belfast AgreementGood Friday Agreement

イギリス政府とアイルランド共和国政府の間で結ばれた北アイルランドの和平合意。1998年4月10日に北アイルランドのベルファストで結ばれたことから、こうよばれる。合意日が聖金曜日(グッド・フライデー)であったため、聖金曜日協定Good Friday Agreementとよばれることもある。合意後、アイルランド共和国は国民投票により北アイルランドの領有権を放棄し、イギリスは1920年のアイルランド統治法を廃止した。ベルファスト合意は、1960年代以降、約30年にわたってプロテスタント系とカトリック系の住民が繰り返してきた武力紛争による流血の歴史に和平をもたらした。この功績により、プロテスタント系を代表する北アイルランド自治政府初代首相のデービッド・トリンブルとカトリック系社会民主労働党党首(当時)のジョン・ヒュームが1998年のノーベル平和賞を受賞した。
 ベルファスト合意は11条からなり、(1)イギリス政府とアイルランド共和国政府は北アイルランドの領有権を主張しない、(2)北アイルランド住民の過半数の合意なしに、北アイルランドの地位変更は行わない、(3)将来において、北アイルランドの帰属は北アイルランド住民の意志に委ねられる、(4)それまで北アイルランドは自治政府の下に置く、などについて合意している。この合意事項を、北アイルランドの主要な8政党間(Strand1)、北アイルランドとアイルランド共和国政府の間(Strand2)、アイルランド共和国政府とイギリス政府、スコットランド自治政府、ウェールズ自治政府、北アイルランド自治政府の間(Strand3)の三つの構造で合意する内容となっている。北アイルランドでは住民の71%、アイルランド共和国では94%が合意内容に賛成投票し、北アイルランド自治政府が設置された。合意後、和平に反対する過激派IRA(アイルランド共和軍)などがテロを起こしたが、カトリック系を含む一般住民の非難でテロは停止している。またIRAの政治組織であるシン・フェイン党幹部のスパイ疑惑事件が起きたことから、2002年にイギリス政府はいったん自治政府を直轄統治下に置いたが、2007年に自治政府は再開した。[矢野 武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

ダブルベーグル

テニス競技において、一方の選手がゲームカウント6-0で2セット連勝することの通称。真ん中に穴が空いたパンの一種であるベーグルの形が数字の「0」に似ていることが語源となっている。1セットの場合は単に「ベ...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

ベルファスト合意の関連情報