放射線を物質に照射し,透過撮影図をフィルム上に記録して,被検体の内部における密度の不均一性を,その透過度の差から見いだし,金属構造物の内部構造や欠陥部を検査する手法をいう。超音波探傷法,磁気探傷法などと合わせて非破壊検査の重要な手法である。工業用X線装置からの200~400kVのX線を用いることが多いが,透過力の強いγ線を用いることもあり,この場合にはγ線ラジオグラフィーと呼ばれる。γ線ラジオグラフィーはX線ラジオグラフィーと比べ,移動が簡単でどこでも非破壊検査を行うことができるという特徴がある。γ線ラジオグラフィーの線源としては60Co,192Ir,137Csなどの,半減期が長く,ある程度エネルギーの高いγ線を放出するラジオアイソトープがよく使われる。一方,原子番号の小さい水素やホウ素などに対し,熱中性子の吸収係数が大きいことを利用して,熱中性子の透過撮影図を作製する手法もあり,中性子ラジオグラフィーと呼ばれる。プラスチックや火薬の検査に利用されている。
執筆者:石榑 顕吉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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