日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラッツェンホーファー」の意味・わかりやすい解説
ラッツェンホーファー
らっつぇんほーふぁー
Gustav Ratzenhofer
(1842―1904)
オーストリアの社会学者、政治学者、軍人。社会ダーウィン主義者で、その思想は、『政治の本質と目的』3巻(1893)、『社会学的認識』(1898)、『社会学』(1907)のうちに展開されている。すなわち社会過程は、関心を中心として他人と闘争しまたは一致する個人の反応であるとみた。彼はまた、グンプロビッチと同じく、国家の発生を種族闘争に求める征服国家説を主張している。その闘争説は自然淘汰(とうた)説の社会集団への適用である。彼の関心説はアメリカのスモールに、また種族闘争説はウォードに大きな影響を与えている。
[高島昌二]
『宮崎市八訳『社会学的認識論』(1924・新潮社)』