ラテン方陣(読み)ラテンホウジン(英語表記)Latin square

デジタル大辞泉 「ラテン方陣」の意味・読み・例文・類語

ラテン‐ほうじん〔‐ハウヂン〕【ラテン方陣】

nn列の正方形ますn種の記号または数を各行各列にn個ずつ、重複のないように配列したもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「ラテン方陣」の意味・わかりやすい解説

ラテン方陣 (ラテンほうじん)
Latin square

nn列の正方形の格子n種の記号をn個ずつ入れ,どの行,どの列にも,n種の記号が1個ずつ現れるようにしたものをラテン方陣またはラテン方格という。図1は三次と四次のラテン方陣の例である。n次のラテン方陣の個数n!(n-1)!×inとすると,i1i2i3=1,i4=4,i5=56,i6=9408,i7=16942080,i8=535281401856となる。n!(n-1)!倍したのは,一つの標準方陣の行または列の入替えで,これだけの異なる方陣が得られるからである。n≧9のとき,inの正確な値は知られていないが,近似的には,となる。n次のラテン方陣を2個重ねてn2通りのすべての記号の組合せが得られるとき,この2個の方陣は直交するといい,できた方陣をオイラー方陣またはグレコ・ラテン方格という。図2は三次と四次のオイラー方陣の例である。六次のオイラー方陣は存在しないが,それを除くと,三次以上のオイラー方陣はすべて存在する。図3は十次のオイラー方陣で,オイラー自身は存在しないと予想したのに,実際は存在したということで有名である。互いに直交するn次のラテン方陣の個数は,多くてもn-1個までで,n素数かそのべき乗のときは,ちょうどn-1個の方陣が存在する。なお,互いに直交するラテン方陣は実験計画法分野で有効に活用されるので,今日でも盛んに研究されている。
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百科事典マイペディア 「ラテン方陣」の意味・わかりやすい解説

ラテン方陣【ラテンほうじん】

ラテン方格とも。n個の異なる記号をn行n列の正方形に並べ,各行・各列にどの記号もちょうど1回ずつ現れるようにしたもの。このようなn次のラテン方陣を二つ重ねたとき,n2個の欄に各方陣の記号のn2通りの組合せが全部現れるならば,この二つのラテン方陣は互いに直交するといい,重ねて得られた方陣をグレコラテン方陣またはオイラー方陣という。グレコラテン方陣はn=2,6の場合以外は常に存在する。これらの方陣は実験計画法で利用される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラテン方陣」の意味・わかりやすい解説

ラテン方陣
ラテンほうじん
Latin square

nn列の正方形のますの中に,n種類の記号をそれぞれ n個ずつおいて,各行各列のなかに重複した記号のないようにしたものを n次のラテン方陣という。

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