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実験計画法 じっけんけいかくほうdesign of experiments

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

実験計画法
じっけんけいかくほう
design of experiments

統計学の一分野。イギリスの数学者 S.R.フィッシャーによって考えられた。自然科学だけでなく社会科学においても,実験は重要な研究手段であるが,従来は実験の計画において,特に考慮される一つの条件 (因子) のみを変化させ,実測値に影響を及ぼす他の多くの要素を一定に保つことによって,着目している因子の効果を測定する方法がとられていた。しかし,このように実験を計画できるのは,ごく限られた問題についてだけである。それを克服するために考えられたのが,この実験計画法である。フィッシャーは,農事試験に際して試験地をいくつかの均一化された地区に分割し (層別の原則) ,その各地区をさらに小さく分割して,それらの各小地区に,どの品種を植えるか,またどのような肥料を用いるかを,無作為に定め (確率化の原則) ,各地区に,同種の実験を十分に反復して行う (反復の原則) という方法を採用した。これが実験計画法の原則であるが,特にこの層別と確率化の原則によって,実験に影響を及ぼす着目因子以外の,他の無数の要素による判別の誤りを回避することができる。実験計画法を用いると,同時に2種類以上の因子を取上げて,それらの効果を別々に測定することができる。それらの因子を計画的に配置することを,実験配置法といい,また測定された結果を統計的に分析することを変量分析法という。 (→因子分析 )

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デジタル大辞泉の解説

じっけん‐けいかくほう〔‐ケイクワクハフ〕【実験計画法】

ある観察対象について、特定の因子の効果の有無を調べたり、正確で効率のよい実験計画と分析方法を研究する、数理統計学の応用分野。20世紀初頭、英国の統計学者R=A=フィッシャーが農業実験について提唱した三原則、反復・無作為化局所管理が知られる。

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百科事典マイペディアの解説

実験計画法【じっけんけいかくほう】

数理統計学の手段を用い,合理的に実験をわりつけ,なるべく少ない労力と費用で信頼できる情報を得ようとする実験の設計方法。たとえばコムギの品種A1,A2,A3,A4の収量を比較するとき,植えた場所により肥沃度や気温・降水量が異なり,収量に影響を与える。
→関連項目乱数表

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世界大百科事典 第2版の解説

じっけんけいかくほう【実験計画法 design of experiments】

数理統計学の一つの応用手法で,どのようなデータを集め,どのように分析したら,そこから導かれる統計的判断に誤りが少ないかを研究する学問である。数理統計的手法の多くが,得られたデータの解析に主として用いられるのに対して,実験計画法はデータの効率的な集め方を決める一つの有力な手法といえる。農事試験の計画とそのデータ解析から発展した実験計画法は,今日広く生物学,医・薬学,工学,心理学などの実質科学の分野に活用されている。

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大辞林 第三版の解説

じっけんけいかくほう【実験計画法】

数理統計学の応用手法の一。誤りの少ない統計的判断を行うために、実験の場に導入する確率モデル、実験処理の選択、データの収集方法、分析の技法等を研究する。フィッシャーにより創始され、実験の計画はフィッシャーの三原則( (1) 反復 (2) 無作為化 (3) 局所管理)に従う。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

実験計画法
じっけんけいかくほう
design of experiments

ある特定の観察対象について、それにどのような要因が影響を与えているかを実験によって究明しようとするとき、できるだけ少ない実験手続や観測によって、できるだけ多くの要因の効果を、可能な限り正確に分析しうる実験計画のたて方と、それに基づく分析方法を研究すること。20世紀の初期に、イギリスの統計学者R・A・フィッシャーが、勤務していた農事試験場での農業実験について開発した考え方であり、その後、医学、薬学、工学、経営学、社会学など、広い分野で応用されている。[高島 忠]

実験計画のたて方

ある対象にいくつかの異なった処理を施す実験を行うことによって、処理ごとの効果に差があるかどうかを知ろうとするとき、その特定の一連の処理は因子とよばれ、因子に与えられる個々の処理の内容は因子水準といわれる。たとえば、ウシの飼育に、ある飼料が効果があるかどうかを実験によって検討しようとするとき、その飼料が因子であり、与えられるその飼料の量が因子水準となる。また、その際にK個の異なった飼料量で調べる場合には、因子水準数はKであるといわれる。
 一連の実験によってただ1種類の因子の効果の有無を検討する実験計画のたて方を一元配置の実験計画といい、これに対して同時に2種類以上の因子による効果分析を行うものを多元配置の実験計画とよぶ。たとえば、先のウシの飼育について特定飼料の効果の有無を調べる実験において、実験結果に、飼料量のほかに、その実験を行う牧場の環境条件が影響を与える可能性が考えられる。この場合には、試験飼料のほかに牧場の所在地がもう一つの因子として加わることになる。いま、与えられる飼料量の相違をA1A2A3の3通りとし、B1B2B3B4の4か所の牧場において実験を行う。それぞれの牧場で3頭ずつのウシを確率的に選択し、各1頭に異なった量の飼料を一定期間与えて、その間に増加した体重を測定することにする。これは飼料量と牧場所在地という2種類の因子の組合せについて効果実験を組み立てたものであり、二元配置の実験計画の例である。[高島 忠]

実験計画モデル

この二元配置の例で、飼料効果の有無を調べるためには次のような方法がとられる。まず、測定値xijが実現される背景となっている構造を理論的に想定する。この例の場合には、飼料量の効果のほかに牧場の違いが影響を与えていると考えられるから、それぞれの効果をαi、βjとすると
  xij=μ+αi+βjuij
という構造が想定される。ここで、μは測定値全体にとっての共通の効果であり、uijは確率的な変動部分、いわば誤差である。これが実験計画モデルといわれるものである。このモデルは2因子の効果が足し算の形で作用するものと想定されているため線形実験計画モデルとよばれる。もし、この飼料が与えられる量によって効果に差がなく、また牧場の所在地による影響もないとするならば、
  H1: α1=α2=α3=0
  H2: β1=β2=β3=β4=0
であるはずである。この両仮説(H1、H2)が、実験によって得られた12個の測定値に基づいて統計的に検証される。それには、確率変数uijについてのある種の仮定に基づいて、分散分析という手法が用いられる。この二元配置の例では、二つの仮説が同時に検定されるが、主たる目的は、飼料量による効果の差の有意性を検定すること(H1)にあり、牧場差の有意性の検定(H2)は付随的に行われる。しかし、牧場因子を考慮することにより、飼料量の効果を牧場差による効果を除去した形で調べることができるわけである。また、この実験の例では、因子水準を実験単位に割り当てる際にグループ(牧場)ごとに確率的に行ったが、このような割当て方を乱塊法とよぶ。このほかに、ラテン方格法、直交配列法などの割当て方法がある。[高島 忠]
『R・A・フィッシャー著、遠藤健児・鍋谷清治訳『実験計画法』(1954・荘文社) ▽奥野忠一・芳賀敏郎著『実験計画法』(1969・培風館) ▽鷲尾泰俊著『実験計画法 改訂版』(1997・日本規格協会) ▽永田靖著『入門実験計画法』(2000・日科技連出版社)』

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世界大百科事典内の実験計画法の言及

【統計学】より

…数理統計学のなかにはこのような一般理論のほか,一つの対象について同時に多くの観測値が得られる場合のデータを扱う多変量解析法,対象の時間的変化を表すデータを扱う時系列解析法(時系列分析)などが,それぞれ独自の体系を作っている。 統計データの作成法を扱う分野として,標本調査法と実験計画法があげられる。標本調査法は多数の構成単位からなる大きい集団(母集団という)の特性値を,その構成単位の一部(標本という)だけを取り出して観察することにより,推定する方法を取り扱う。…

【フィッシャー】より

…第2は統計量の標本分布に関連し,処女論文における相関係数の精密標本分布の導出をはじめ,偏相関係数,Z分布,分散共分散行列の固有根の分布などを求めた。第3は統計的実験計画法の創出で,ロザムステッドにおける経験にもとづき,実験誤差を含む条件のもとでの実験の計画およびデータの解析法を確立した。実験の計画における局所管理,確率化,繰返しの三つの原則を立て,またデータの解析における分散分析法を発案した。…

※「実験計画法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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