レディメイド(読み)れでぃめいど(その他表記)ready‐made

知恵蔵 「レディメイド」の解説

レディメイド

フランス生まれのマルセル・デュシャンが、既製品を用いて作り出した個々の作品を指す。1913年に自転車の車輪を台所用丸椅子に突き刺して彫刻台座の関係をもじってみせた「自転車の車輪」が、後に最初のレディメイドと呼ばれるようになる。視覚的な美しさや熟練の技術を無視するだけでなく、表現者の天才個性といった創造への信仰を覆すことで、美術とは何かを鋭く問いかけた。17年、ニューヨークで無鑑査展にもかかわらず、展示を拒否された「泉」は、実用品の男性用小便器に署名をしただけの作品だった。それを機に、既製品は芸術たり得るかという論争が起きた。ここから20世紀における、芸術家と芸術の新しい関係や役割、意義などへの問いが広がったといえる。

(山盛英司 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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