山川 世界史小辞典 改訂新版 「ヴィシュヌ派」の解説
ヴィシュヌ派(ヴィシュヌは)
Vaiṣṇava[サンスクリット],Vaishnavism[英]
ヒンドゥー教の宗派。主としてバーガヴァタ派とパンチャラートラ派に分かれる。前者は北インドの牧畜民の神であったクリシュナ,ヴァースデーヴァがヴィシュヌと同一視されることにより勢力を得た。『バガヴァッド・ギーター』は初期の教義を伝える。神へのバクティ的信仰は10世紀頃の『バーガヴァタ・プラーナ』によりさらに宣揚され,神の名をひたすら唱えるチャイタニヤ派として今日まで栄える。『マハーバーラタ』第12巻の哲学詩編に登場するナーラーヤナをヴィシュヌとみなすパンチャラートラ派は,7世紀頃から教義集,儀礼集の聖典を数多くつくり,明確な宗派性を示す。同じ頃の南インドの宗教詩人の活動を通じ,シュリーヴァイシュナヴァ派として民衆的宗派となる。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報