マハーバーラタ(その他表記)Mahābhārata

改訂新版 世界大百科事典 「マハーバーラタ」の意味・わかりやすい解説

マハーバーラタ
Mahābhārata

古代インドの叙事詩。《ラーマーヤナ》とともにインドの国民的叙事詩となっている。18巻より成り,補遺《ハリバンシャHarivaṃśa》を含めると10万頌(頌とは16音節2行の詩)を数え,古今東西にわたりこれほど長大な叙事詩は他に例をみない。伝説によるとビヤーサという仙人が5人の弟子に伝え,その一人であるバイシャンパーヤナがジャナメージャヤ王の催した蛇退治の祭祀のおりに初めてこれを唱えたといわれている。実際は前10世紀ころにクルクシェートラ(現在のデリー近郊)で起こったと思われる,バラタ族の領土にまつわる親族間(クル族とパーンドゥ族)の争いを主題とする物語を吟遊詩人が伝えるうち,雑多な要素が混入し,増広され,後5世紀ころにほぼ現形に近づいたものと思われる。

 中核の戦争物語は6~10巻に語られ,先行の1~5巻は戦争のよってきたる経緯を物語り,後続の11~18巻は大戦後の処理と,戦勝した王子の死に至るまでの後日譚を伝えている。ただし12~13の2巻は後世の追加部分と思われる大冊で,そこには戦争とは無関係な王の義務,バラモン扶養の義務,インド社会を特徴づける四つの階級(バルナ)の権利・義務,人生の四段階(アーシュラマ)における人間それぞれの権利・義務などを説き,また雄大な哲学的詩編もこの部分にみられる。

 ベーダ文献にも知られていた名門バラタ族には,パーンドゥ王の5王子と,ドリタラーシュトラ王の100王子があり,彼らはいとこ関係にありながら,後者は前者の有徳と繁栄をねたんで,ことあるごとに5王子を陥れようとした。そのたくらみは100王子の長兄ドゥルヨーダナが5王子の長兄ユディシュティラを賭博に誘って打ち負かすことによって成功し(第2巻),5王子は辱めを受けたあげく領地を奪われ,12年間の国外追放を宣告される(第3巻)。13年目は素姓を隠してビラータ王の宮廷に住み(第4巻),約束を果たして王国の返還を迫ったが,100王子の側はこれに応じなかったため(第5巻),ここに両軍は聖地クルクシェートラに相会して,18日間の戦争となった。戦況は100王子の側にしだいに不利となり,ビーシュマ(第6巻),ドローナ(第7巻),カルナ(第8巻),シャリヤ(第9巻)と勇将相次いで倒れ,前後にドゥルヨーダナも討ち取られて5王子に凱歌があがる。第10巻は100王子の側にわずか生き残った将士の壮絶な夜討ちを語るが,戦争はこれで終わり,第11巻は戦争に父,夫,息子を失った婦人たちの慟哭(どうこく)を伝える。かくてユディシュティラは即位し,りっぱに国を治め,老境に入って譲位した後,兄弟夫人を伴って聖地を行脚し,最後はヒマラヤ山より昇天したとされている。

 この骨格物語の周辺に数多くの挿話,物語,神話伝説が物語られ,今に伝わる《マハーバーラタ》はヒンドゥー教百科全書の趣を呈している。その中で最も有名な哲学的詩編は《バガバッドギーター(神の歌)》で第6巻にみえ,これはヒンドゥー教徒の聖書ともされている。物語として著名なものに,夫を死神の手から取り戻した貞女を説く《サービトリー物語》,夫婦の愛をうたった《ナラ王物語》,本邦歌舞伎十八番の一つ《鳴神》の原型とされる《リシュヤシュリンガ(一角仙人)物語》などがあり,いずれも第3巻に収められている。

 《マハーバーラタ》の後世インド文化への影響はきわめて大きく,詩人,劇作家はこれより取材して文芸作品を残し,また造形美術にも《マハーバーラタ》の一場面を描くものが少なくない。それはまたジャワマレー,タイ,バリ島など東南アジアに伝えられ,各地の文化に影響を及ぼした。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マハーバーラタ」の意味・わかりやすい解説

マハーバーラタ
まはーばーらた
Mahābhārata

古代インドのサンスクリット大叙事詩で、「バラタ人の戦争を物語る大史詩」の意。18編10万頌(しょう)の詩句と付録『ハリ・バンシャ』(ハリの系譜)1編1万6000頌からなる。伝説によると、ビヤーサ仙が3年間で書いたというが、紀元前のはるか昔から語り伝えられている間に整理され、修正増補されて、4世紀ごろ現存の形をとったと考えられる。

 物語はバラタ人に属するクル一族とパーンドゥ一族の2王族の不和から18日間の大戦闘の結果、パーンドゥ側の勝利となる顛末(てんまつ)を主題としているが、本題は全編の約5分の1を占めるにすぎず、その間に神話、伝説、宗教、哲学、道徳、法制、社会制度などに関する無数の挿話を含み、これらのなかには後世まで世人の愛唱するものが多い。またこれらの物語を題材とした文学作品も非常に多く、なかでも有名なのはサービトリーの貞節が女性の模範として長く後世までインド婦人の称賛の的とされ、現在も毎年祭礼を行ってこの詩を唱え、幸福な結婚を祈願している『サービトリー物語』、全編中もっとも美しいロマンスといわれ、数奇な運命を物語る『ナラ王物語』、幽遠の哲理に配するに熱烈な信仰をもってし、実践道徳の要諦(ようてい)を説いてインド思想の根本をよく折衷、総括した宗教哲学的聖典としてヒンドゥー教徒が座右の聖典とする『バガバッド・ギーター』などで、後世の思想、文学に多くの資料を提供し、インド国民の精神生活に多くの影響を与えた。

 また付録の『ハリ・バンシャ』は、大史詩で重要な役割を演ずるクリシュナを、ハリすなわちビシュヌ神の権化としてその系譜や偉業などを述べたものである。『マハーバーラタ』の物語は、インド文化の普及に伴い、ジャワ、マレー、タイなどに伝えられて文学、芸術に反映し、またそのなかの挿話は中国を経て日本にも伝わっている。『リシュヤシュリンガ』の物語は、『ジャータカ』(本生話(ほんしょうわ))のなかの『ナリニカージャータカ』として仏教化されているが、漢訳仏典に取り入れられ、日本にも伝わり、一角仙人の物語として『今昔(こんじゃく)物語』や謡曲の『一角』、さらに歌舞伎(かぶき)の『鳴神(なるかみ)』にまで及んでいる。

[田中於莵弥]

『前田式子訳『世界文学大系4 インド集 マハー・バーラタ(抄)』(1959・筑摩書房)』『C・ラージャゴーパーラチャリ編訳、奈良毅・田中玉訳『マハーバーラタ』全3巻(第三文明社・レグルス文庫)』

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百科事典マイペディア 「マハーバーラタ」の意味・わかりやすい解説

マハーバーラタ

古代インドのサンスクリット叙事詩。《ラーマーヤナ》と並ぶインドの国民的叙事詩。バラタ族の2王族が,聖地クルクシェートラで戦った18日間の大戦争の経緯を主題とした物語。10万頌(しょう)(頌は16音節2行の詩)の詩句と1万6000頌の付編からなる,世界にも類をみない長大なもの。しかし主題の部分は全体の5分の1で,残りは神話・伝説・道徳・教訓等の諸エピソードにあてられている。吟遊詩人によってうたわれてきた。現在のような形が成立したのは4世紀のころとされる。後世,インドの諸言語に訳されたり,ジャワ,マレー,タイ,バリ島にも伝えられ,それらの文学・芸術に大きな影響を与えた。また,エピソードの中には,日本の謡曲《一角仙人》,歌舞伎《鳴神》の源流となった《リシュヤシュリンガの物語》もある。→バガバッドギーター
→関連項目アンコール・ワットシャクンタラーヒンドゥー教ホルストマハーバリプラムワヤン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マハーバーラタ」の意味・わかりやすい解説

マハーバーラタ
Mahābhārata

古代インドの叙事詩。サンスクリット語で書かれ,18編 10万頌の詩句から成り,量において世界最大。作者はビヤーサといわれるが,実際は,はるか昔の物語が口伝され,前数世紀頃ようやく整理されはじめ,修正増補されて後4世紀末頃現在の形になったものと推定される。数多くの挿話を含むが,主題をなしている物語は全体の約5分の1である。インドの国名が,「バラタ王の国」を意味する「バーラト」 Bhāratであるように,バラタ王は古代インドで英雄的に活躍したバラタ族の祖先であり,『マハーバーラタ』の主題は,彼の後裔であるドリタラーシュトラパーンドゥの両家の軋轢,特にクル・クシェートラ (クル平原) における 18日間の戦闘である。悪役ドゥルヨーダナに対して,1人の妻ドラウパディーを共有するパーンドゥの5人兄弟,なかでも俊英アルジュナと怪力ビーマの行動は古来大衆的な人気を呼んだ。挿話としての『サービトリー物語』『ナラ王物語』,哲学詩『バガバッド・ギーター』は,独立の文学として現在もなおインド国民に愛誦されている。なお,1985年にはイギリスの演出家 P.ブルックがフランスのアビニョン演劇祭で初演。脚色はフランス人の脚本家 J.C.カリエール。上演にはブルックが主宰する「国際演劇研究センター」の世界各国の俳優が参加し,総上演時間は約9時間に及んだ。この試みは大きな反響を呼び,88年には日本公演も行われた。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「マハーバーラタ」の解説

『マハーバーラタ』
Mahābhārata

『ラーマーヤナ』と並ぶ古代インドの二大叙事詩の一つ。18巻約10万詩節よりなる。祖形は前5世紀頃にあり,現在の形は5世紀頃にまとめられた。バラタ族のいとこの間の王位継承をめぐる戦争のいきさつを描く。多くの神話,伝説などが散在し,ヒンドゥー教に関する百科全書を思わせる。第6巻にある『バガヴァッド・ギーター』は有名。近世のインド諸語にも訳され,南アジア,東南アジアの宗教・文化に大きな影響を与えた。

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旺文社世界史事典 三訂版 「マハーバーラタ」の解説

マハーバーラタ
Mahābhārata

古代インドの大叙事詩
18編に分かれ,詩数は10万をこえ,『ラーマーヤナ』と並び称される世界最長編の叙事詩。北インドに行われていた伝承がほぼ4世紀ごろ形を整えたもので,サンスクリット語で書かれている。バーラタ族の大戦争が主題。

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世界大百科事典(旧版)内のマハーバーラタの言及

【インド神話】より

…例えば,人祖マヌと大洪水の伝説,天女ウルバシー伝説,山の翼を切ったインドラの話,悪魔の住む三都を破壊するルドラ(シバ)神の話などは,後代のヒンドゥー教の神話,文学に多大な影響を与えた。
【ヒンドゥー教の神話】
 ヒンドゥー教の代表的な文献は,二大叙事詩《マハーバーラタ》と《ラーマーヤナ》である。特に前者は,18編約10万詩節よりなる大作であり,バラタ族の内紛・大戦争を主筋とする。…

【インド文学】より

…ベーダ文学は時代の推移に伴い,神話的のものから神学的,哲学的,祭儀的となった。
【二大叙事詩とプラーナ】
 インドの国民的二大叙事詩《マハーバーラタ》と《ラーマーヤナ》は,古代文学と中古文学の中間にあってインド文学史上重要な地位を占め,その影響は国外にまで及んでいる。《マハーバーラタ》はバラタ族に属するクルとパーンドゥの2王族間の大戦争を主題とする大史詩で,18編10万余頌の本文と付録《ハリ・バンシャHarivaṃśa》から成り,4世紀ころに現形を整えるまでに数百年を経過したものと思われ,その間に宗教,神話,伝説,哲学,道徳,制度などに関するおびただしい挿話が増補されて全編の約4/5を占めているが,それらのうち宗教哲学詩《バガバッドギーター》,美しいロマンスと数奇な運命を語る《ナラ王物語》,貞節な妻《サービトリー物語》などは最も有名である。…

【仮面劇】より

…ある範囲で共有された神話物語が実現される際に,その様式の差異が(舞踊等の差異ももちろんだが),仮面の様式の差異として眼につく表現を与えられることもある。インドから南アジアにかけて,ヒンドゥー文化に起源するさまざまな神格の行為,叙事詩《ラーマーヤナ》《マハーバーラタ》を基礎とする仮面が地域ごとに独自の様式によって洗練されて,また地域固有の要素と結びつけられ,固有の演劇の文脈に編みこまれているという事実は,この点から見て大変興味深い。南インドの〈チョウ〉(紙と粘土で成形した仮面を用いる,《ラーマーヤナ》等に基づく民衆劇)のさまざまな様式,スリランカの〈コーラム〉,ネパールの〈ナバ・トゥルガー〉,タイの〈コーン〉および〈ラコーン〉,インドネシアの〈ワヤン・トペン〉は,共通の基礎の上に,多様な仮面劇の世界を作り上げている。…

【クリシュナ】より

…クリシュナは前7世紀以前に実在した人物であるとみなされ,遊牧に従事していたヤーダバ族Yādavaの一部ブリシュニ族に生まれたという。バーラタ(バラタ)族の大戦争に参加しパーンダバ軍を助けたことは,大叙事詩《マハーバーラタ》,およびその一部であるヒンドゥー教の代表的聖典《バガバッドギーター》によってうかがい知ることができる。やがてクリシュナはヤーダバ族の奉ずる神バガバットと同一視され,さらに太陽神ビシュヌの化身とみなされるようになり,ビシュヌ教のバーガバタ派の最高神となった。…

【シャクンタラー】より

…その帰路,王はシャクンタラーと息子バラタに出会う。 このシャクンタラーの名は,バラタの母としてベーダ文献に見えるが,叙事詩《マハーバーラタ》の中でまとまりのある物語のヒロインとなる。ただし,叙事詩では,〈仙人の呪詛〉と〈思い出の指輪〉という二つの重要なモティーフが欠けている。…

【巡礼】より

… これに対して,インドのような多神教的な文化風土では,〈円運動〉をとるのが普通である。紀元前後のころに書かれた叙事詩《マハーバーラタ》によると,当時の代表的な巡礼路は,インド亜大陸全体に散在している聖地を右回りに巡り歩くことから成り立ち,とくに川の源流や合流点が神聖視された。またヒンドゥー教最大の聖地の一つであるワーラナシー(ベナレス)では同心円状の巡礼路がいくつもつくられていて,巡礼者はそのコースを右回りに行脚していく。…

【叙事詩】より

…近代ヨーロッパにおいては,それはしばしば小説作品のなかで追究されるようになり,そのもっとも顕著な一例として,社会全体の壁画的表現をめざしたバルザックの《人間喜劇》を挙げることもできよう。
【非ヨーロッパ世界】
 非ヨーロッパ世界における最大の叙事詩は,古代インドの《マハーバーラタ》と《ラーマーヤナ》である。〈バーラタ族の戦争を語る大史詩〉と副題された《マハーバーラタ》は,長いあいだ口誦文学として種々の変形を受けたあと,4世紀ころに最終的な形を整えたとされている。…

【バガバッドギーター】より

…インド古代の叙事詩《マハーバーラタ》の一部をなす宗教・哲学的教訓詩編。略して《ギーター》ともいう。…

【バラタ族】より

…バラタはまた古代インドの伝説的帝王の名でもある。叙事詩《マハーバーラタ》は,この王の子孫であるクル族内部の紛争をテーマとしたもの。バラタ王あるいはバラタ族の名にちなみ,古代からインド亜大陸はバーラタバルシャ(バラタの領土)と呼ばれてきた。…

【バーラタバルシャ】より

…バラタ王は《リグ・ベーダ》時代の遠い昔に,北インドに雄飛した伝説的帝王で,その子孫はバラタ族と呼ばれた。大叙事詩《マハーバーラタ》に主役を演ずるクル族とパーンドゥ族は,ともにバラタ族に属する王族である。【田中 於菟弥】。…

【バーラビ】より

…叙事詩《キラータールジュニーヤKirātārjunīya》により技巧派詩人として名声を博している。この詩は18章から成り,大叙事詩《マハーバーラタ》から取材し,勇士アルジュナ王子が凶悪な山地部族のキラータに扮したシバ神と格闘し,その武勇を認められて天授の武器を獲得するてんまつを述べているが,彼の名声は詩の内容よりはむしろ韻律および修辞上のすぐれた技巧によるもので,詩的技巧を重んじる修辞学書に多く引用されている。【田中 於菟弥】。…

【ビシュヌ派】より

…なかでもラーマとその妃シーター,クリシュナとその妃ラーダーは,しばしば文芸の対象になり,広くインド全土で熱烈に崇拝されてきた。この派の存在は,前5~前4世紀以降の文献などによって確かめられるが,その教義がまとまった形をとったのは,叙事詩《マハーバーラタ》の一部に組み込まれている《バガバッドギーター》においてである。また,この派に関連の深い文献としては,《マハーバーラタ》の付編として扱われている《ハリバンシャ》,および《ビシュヌ・プラーナ》《バーガバタ・プラーナ》などのプラーナなどがある。…

【ビヤーサ】より

…四ベーダを編纂し,《マハーバーラタ》を著述し,諸種のプラーナをも著したとされるインドの伝説上の聖仙。名前は〈編集する〉の意のサンスクリットvy‐asに由来するといわれる。…

【ヒンドゥー教】より

… ヒンドゥー教は,バラモン教を基盤としているとはいえ,次のような過程を経て,今日見られるヒンドゥー教が形成された。(1)哲学諸体系の形成と《マハーバーラタ》やその一部をなす《バガバッドギーター》,東南アジア一帯にも大きな影響を与えた《ラーマーヤナ》,またヒンドゥー法典の基盤である《マヌ法典》など,ヒンドゥー教の中核を成す聖典の成立(紀元前後以降),(2)宗派の成立(1~2世紀以降),(3)強いバクティ思想の台頭(600‐800以降),(4)タントリズムの形成(800以降),(5)イスラムの浸透(13世紀以降),(6)イギリスの支配,キリスト教の伝播,西洋文明との接触(1800以降)。
[聖典]
 ヒンドゥー教の聖典は実に膨大な数と量に及んでいるが,コーランや聖書ほどの地位と権威をもつ聖典はない。…

【民俗芸能】より

…また,事実ないしその脚色ではなく虚構の世界を描く物語性をもった民俗芸能も多く,それらはしばしば勧善懲悪,二元論などの倫理観,世界観を表明するものと解釈することができる。たとえば,インドの《ラーマーヤナ》《マハーバーラタ》と,それが伝播し変形された東南アジア諸民族の舞踊劇,あるいはそれぞれの民族が固有にはぐくんできた神話・伝説の類に基づく語り物や舞踊劇の中に,人民の共同体意識を高める動機が文芸・舞踊の構造の一部として観察できるのである。このように叙事性をもつ民俗芸能は,諸民族の歴史・価値体系をパフォーマンスそのものを通じ,コード化ないし記号化したものと解釈することができる。…

※「マハーバーラタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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