一筆斉文調(読み)いっぴつさい・ぶんちょう

朝日日本歴史人物事典 「一筆斉文調」の解説

一筆斉文調

生年:生没年不詳
江戸中期の浮世絵師。姓は守氏。刊年不明の七回忌追善画会の摺物により,6月12日が忌日で,狩野派の絵師石川幸元の門人であることが判明している。明和期(1764~72)に役者容貌肖似性を売り物にした「似顔絵」を錦絵において創始し,役者絵の様式を一変させた。絵本では扇面形の枠内に描いた勝川春章との合作,明和7(1770)年刊の『絵本舞台扇』が重要。役者絵以外では,明和末から安永(1772~81)初期にかけて美人画も制作,「墨水八景」「三十六花撰」などが代表作。安永初期には作画活動をほとんど停止したが,派手さの乏しい高踏的な画風が人気を得なかったためと思われる。<参考文献>早稲田大学演劇博物館『芝居絵図録1 一筆斉文調』

(大久保純一)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android