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役者 やくしゃ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

役者
やくしゃ

俳優別称。古代は,神事仏事の役にたずさわる者の意であったが,次第に芸能によって神に奉仕する者をさすようになった。能役者歌舞伎役者などといい,江戸時代ことに歌舞伎俳優をさすことが多かった。近代に入って俳優の語が一般的となり,立 (たて) 役者,役者根性などの用い方を残してあまり使われなくなったが,近年はまた俳優より役者という表現を好む傾向もある。

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デジタル大辞泉の解説

やく‐しゃ【役者】

能楽・歌舞伎などで、役に扮(ふん)して演じる人。俳優。
駆け引きなどにたけている人。また、人前で抜け目なく振る舞う人。「なかなかの役者で油断ならない人」
役目に当たる人。役人。
「飯をはからひもり、人にすすむる―を」〈咄・醒睡笑・一〉

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世界大百科事典 第2版の解説

やくしゃ【役者】

本来はある役目をする人,職務担当の役人の意であり,寺院における諸役あるいは法会などの際,担当の役に従事する者の意に使われた。演劇用語としては中世からみられる。猿楽の能が大成してから〈能役者〉の名称が生じた。猿楽法師の長や主だったもの,すなわち能の大夫が,寺院の諸職の役目を務めたことに始まるのであろう。時代が下ると,能の大夫職に限らず,シテ方はもちろんワキ方狂言方囃子方までを含めて能役者と称している。

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大辞林 第三版の解説

やくしゃ【役者】

能楽・芝居などで登場人物を演ずる人。俳優。
弁舌や才知、かけ引きなどにすぐれている人。 「彼はなかなかの-だ」
役目にある人。役人。 「倉ノ-戸ヲヒライテクレバ/天草本伊曽保」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

役者
やくしゃ

本来は神事・仏会(ぶつえ)などの祭祀(さいし)儀礼に際して特別な役を受け持つ人をさすことばだったが、中世の猿楽(さるがく)以後、舞台芸能における演技者の名称になった。古くは囃子方(はやしかた)も含めていたが、やがて演技者に限るようになった。『役者全書』(1774刊)に「役者といへる号は、何役でも、それぞれの役を勤むる者を役者と称す。されば仏家にも役者の名あり。しかるに役者といへば戯場(しばい)の狂言をなす者に限ることになりたり」とある。元禄(げんろく)年間(1688~1704)には、歌舞伎(かぶき)の演者のことを役者、芸者、役人などとよんだことが知られるが、しだいに「役者」に統一されたらしい。猿楽役者、歌舞伎役者が社会的に卑賤(ひせん)な身分の者とされていたため、近代以降における演者の地位向上とともに「俳優」の称が一般的になった。しかし、江戸時代を通じて、「役者」の称号は大衆に親しまれ、演者自身も「役者」の称に誇りをもっていた。毎年出版され続けた技芸評判の本を『役者評判記』と名づけたのはその表れの一例となる。[服部幸雄]

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世界大百科事典内の役者の言及

【演劇】より


【〈演劇〉という語をめぐって】
 〈演劇〉という単語は,たとえば清初に李漁が著した一種の演劇論《閑情偶寄》に用例がみられるように中国語起源であるが,日本語として用いられるようになったのは明治以後,西洋芸術の一表現様態(ジャンル)を前提にしてである。諸橋轍次《大漢和辞典》によれば,〈作者の仕組んだ筋書に本づき,役者が舞台で種々の扮装をなし,種々の言動を看客の前に演ずる芸術。しばゐ。…

【歌舞伎】より

…劇の進行に時間的な飛躍を示す記号としての引幕が用いられるようになり,複雑な筋の展開を可能にした。劇場が整備され,役者の数が増加し,見物の層が広がった。野郎評判記が出版されるが,当初の容色本位の野郎賛仰からしだいにその技芸をも評判するようになり,役者評判記の性格を濃くしていく。…

【河原者】より

…江戸時代に,歌舞伎役者や大道芸人・旅芸人などを社会的に卑しめて呼んだ称。河原乞食ともいった。…

【俳優】より

…それらはともに,物真似(ものまね)芸をする人を意味していた。また,〈俳優〉という言葉の周辺には〈役者〉という言葉が存在する。日本の伝統演劇においてはむしろこの言葉こそが,演者あるいは演技者を指し示す言葉として長く用いられており,それは日本の伝統演劇における演者のあり方を的確に反映しているから,その点でも重要な言葉であると言ってよい。…

※「役者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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