似顔絵(読み)にがおえ

精選版 日本国語大辞典 「似顔絵」の意味・読み・例文・類語

にがお‐え にがほヱ【似顔絵】

〘名〙
① ある人の顔の特徴をよくとらえて描いた絵。
※妹と背かゞみ(1886)〈坪内逍遙〉一「鉄筆画といふ画風に、其肖皃画(ニガホヱ)をかきもてゆくうち
浮世絵で、特定人物、特に役者の容姿面貌を似せて描いた絵。東洲斎写楽歌川豊国などがこれをよくした。
黄表紙・御存商売物(1782)下「にがほゑといへども、顔ににあわぬ短気ものと大きにきめられけるゆへ、これよりきめだしと申なり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「似顔絵」の意味・読み・例文・類語

にがお‐え〔にがほヱ〕【似顔絵】

ある人の顔に似せて描いた絵。
浮世絵で、面貌めんぼう・姿を似せて描いた役者絵美人画など。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の似顔絵の言及

【勝川派】より

…源流は宮川長春を祖とする宮川派に発し,長春の孫弟子勝川春章に始まる。版画では似顔絵と呼ばれる写実的な役者絵,相撲絵を得意とし,半身像の大首絵,さらには大顔絵など,対象に近接した描写形式を開発し,明和~寛政期(1764‐1801)の役者絵界を風靡(ふうび)した。また肉筆画を専門とした宮川派の伝統を引き,この派の画家には肉筆画の名手が多い。…

【死絵】より

…浮世絵版画の一種。人気の高い人物が死んだ直後,その人の似顔絵に没年月日や法名,菩提寺,辞世および追善の歌句などを記して売り出された。対象となった人物はほとんどが歌舞伎役者で,まれに浮世絵師や戯作者が扱われることもあった。…

【役者絵】より

…それまでの役者絵では,役者の風貌は一様に類型的に表され,画面上に記される名前や紋所ではじめて誰と知られる程度のものであった。ここにようやく役者一人一人の個性を描き分ける〈似顔絵〉が誕生することになる。勝川春章と一筆斎文調がその功績者であり,両者合作の《絵本舞台扇(ぶたいおうぎ)》(1770)は記念碑的作例として知られる。…

※「似顔絵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android