…源流は宮川長春を祖とする宮川派に発し,長春の孫弟子勝川春章に始まる。版画では似顔絵と呼ばれる写実的な役者絵,相撲絵を得意とし,半身像の大首絵,さらには大顔絵など,対象に近接した描写形式を開発し,明和~寛政期(1764‐1801)の役者絵界を風靡(ふうび)した。また肉筆画を専門とした宮川派の伝統を引き,この派の画家には肉筆画の名手が多い。…
…浮世絵版画の一種。人気の高い人物が死んだ直後,その人の似顔絵に没年月日や法名,菩提寺,辞世および追善の歌句などを記して売り出された。対象となった人物はほとんどが歌舞伎役者で,まれに浮世絵師や戯作者が扱われることもあった。…
…それまでの役者絵では,役者の風貌は一様に類型的に表され,画面上に記される名前や紋所ではじめて誰と知られる程度のものであった。ここにようやく役者一人一人の個性を描き分ける〈似顔絵〉が誕生することになる。勝川春章と一筆斎文調がその功績者であり,両者合作の《絵本舞台扇(ぶたいおうぎ)》(1770)は記念碑的作例として知られる。…
※「似顔絵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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