一興(読み)いっきょう

精選版 日本国語大辞典 「一興」の意味・読み・例文・類語

いっ‐きょう【一興】

〘名〙 (形動)
① ちょっとした面白味のあること。それなりの興趣。また、そのさま。いっきょ。
尺素往来(1439‐64)「是又時之一興」
※門(1910)〈夏目漱石〉九「打ち明けるのも一興(イッキョウ)だらうと」
近世、反語的に、意外、奇怪の意を表わす。驚きあきれること。とんでもないこと。また、そのさま。いっきょ。
浄瑠璃・頼朝浜出(1686)一「太刀ひんぬけば是はいっけう、さりとてはあやまったり」
[補注](1)「逸興」から、一時の興味という意味あいで「一興」と当てたものか。
(2)本来、「一興」は「ひとつの面白さ、ちょっとした遊興」、類語の「逸興」は「世俗を脱した風流な趣向」と区別があったが、混同されることも少なくない。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「一興」の意味・読み・例文・類語

いっ‐きょう【一興】

ちょっとしたおもしろみ。それなりの楽しみ。「それもまた一興だ」
(近世、反語的に用いて)意外なこと。奇怪なこと。
「これは―、此の子はいとしうござらぬか」〈浄・重井筒

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