室町期の教科書。古往来(こおうらい)の一つ。一巻。作者については「後成恩寺関白兼良(のちのじょうおんじかんぱくかねら)公」と掲げられており、一条兼良の撰(せん)と伝える。成立年代は不明。尺素とは手紙のことで、書状の形式をとって、社会生活に必要な多彩な知識・教養を広範囲に提供しているが、公家(くげ)の生活に限定せずに武家社会の生活にも触れているので、室町期の社会相を知る材料となる。本書前段には小朝拝(こぢょうはい)、三節会(せちえ)、御所的(ごしょまと)、聖廟法楽(せいびょうほうらく)などの年中行事とそれに関する各種事物、馬、弓、甲冑(かっちゅう)、鍛冶(かじ)などの武家の職能にかかわる事物が収められている。また後段には神訴(しんそ)、薬種(やくしゅ)、地震、祈祷(きとう)、本領事、相論、半済(はんぜい)事、難渋対捍(なんじゅうたいかん)之土民百姓、成敗、武官、僧官、二十二社、四箇大寺(よんかたいじ)、八宗(はっしゅう)、仏説法次第、三国五山などから、名筆掛絵、書院置物、屏風(びょうぶ)障子、絵具、粥(かゆ)、点心(てんじん)、諸食物、茶、菓子、布施物、さらに荼毘(だび)、忌日などまでを載せている。『群書類従』消息部所収。
[新井孝重]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
往来物の一つ。作者は一条兼良(かねよし)と推定。室町中期成立。素眼の「新札往来」をうけ,これを増補した。上下2巻からなり,全編1通の消息で構成される。衣食住・教養・遊芸・仏事・神事・施政・裁判など68条に関する語彙を収める。中世の公家や武家の文化を知るうえで屈指の資料。最古写本は内閣文庫蔵の1522年(大永2)橋本公夏筆本。ほかに1668年(寛文8)京都石田治兵衛刊本などがある。「群書類従」「日本教科書大系」所収。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新