心中重井筒(読み)シンジュウカサネイヅツ

関連語 諏訪

精選版 日本国語大辞典 「心中重井筒」の意味・読み・例文・類語

しんじゅうかさねいづつシンヂュウかさねゐづつ【心中重井筒】

  1. 浄瑠璃。世話物。三巻。近松門左衛門作。宝永四年(一七〇七)大坂竹本座初演。大坂の紺屋の養子徳兵衛と実兄の経営する色茶屋重井筒の遊女お房との心中事件を脚色。歌舞伎化され、道行舞踊としても行なわれた。

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改訂新版 世界大百科事典 「心中重井筒」の意味・わかりやすい解説

心中重井筒 (しんじゅうかさねいづつ)

人形浄瑠璃。世話物。3巻。近松門左衛門作。1707年(宝永4)末,大坂竹本座初演。1704年に大坂万年町の紺屋徳兵衛と六軒町重井筒屋の遊女が心中した事件に取材。大坂万年町の紺屋の入婿徳兵衛は,実家の色茶屋重井筒屋の抱え女郎お房と馴染みを重ねていた。そのお房の危難を救う金を工面するため,計略をかまえて養家を担保に銀を借りたが,妻のお辰の貞節に心打たれ,事実を明かして銀を返した。お房は約束の時刻に徳兵衛が姿を見せぬため自害しようとしたが,家人に発見された。お房の身を案じて重井筒屋を訪れた徳兵衛は,夜半,屋根伝いに忍んできたお房と心中の決意を語り合い,気づいた兄の懲らしめにもかかわらず,重井筒屋を脱出し,高津の大仏勧進所で情死した。その後の歌舞伎や人形浄瑠璃に多くの書替え作を生んだ。上巻最後で徳兵衛がお房のもとへ走る場面は,歌舞伎では恋に魂を奪われているさまを示す〈羽織落し〉の型が伝わっている。
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