一過（読み）イッカ

デジタル大辞泉

いっ‐か〔‐クワ〕【一過】

［名］(スル)
１ さっと通り過ぎること。「台風一過」
「浮雲―して」〈独歩・夫婦〉
２ ざっと目を通すこと。
「主人は黙読―の後」〈漱石・吾輩は猫である〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

いっ‐か‥クヮ【一過】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 一度にさっと通り過ぎること。また、一回通過すること。
   1. [初出の実例]「午雨一過す」(出典：航西日乗（1881‐84）〈成島柳北〉三月三一日)
   2. [その他の文献]〔南史‐王琨伝〕
3. ② 一度ざっと目を通すこと。
   1. [初出の実例]「因再読_二少陵先生集_一一過」(出典：寛斎先生遺稿（1821）三・明王徳操旧物杜少陵集)
   2. 「主人は黙読一過の後直ちに封の中へ巻き納めて」(出典：吾輩は猫である（1905‐06）〈夏目漱石〉九)
4. ③ ほんのわずかな間。また、一時的なこと。〔諺草（1699）〕
   1. [初出の実例]「一過(イッカ)ばかりでほんのうわきといふものだ」(出典：洒落本・夜鄽行燈（1804‐18頃）七)

出典　精選版 日本国語大辞典