日本大百科全書(ニッポニカ) 「三十二番職人歌合絵巻」の意味・わかりやすい解説 三十二番職人歌合絵巻さんじゅうにばんしょくにんうたあわせえまき 室町時代(15世紀)の絵巻。作者不詳。1巻。32人の諸職人が左右16組に分かれ、「花」と「述懐」の題でそれぞれ16番、あわせて32番の歌合をしたことを題材としたもの。千秋万歳(せんずまんざい)・絵解(えとき)・獅子舞(ししまい)などの芸人、虚無僧(こむそう)・高野聖(こうやひじり)・巡礼などの念仏遊行(ゆぎょう)をはじめ、鳥刺し、輿舁(こしかき)などの珍しい職人が登場する。絵は、職人たちが左右に相対した姿を描き、これに各自の詠歌を添えている。中世の諸種多様な職業人の風俗を描いて史料的な価値は大きい。[村重 寧] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例