最新 地学事典 「三波川結晶片岩」の解説
さんばがわけっしょうへんがん
三波川結晶片岩
Sanbagawa(Sambagawa)crystalline schist
中央構造線の太平洋側に沿って,関東山地から九州東部までほぼ連続して分布する広域変成岩。主に,塩基性片岩・泥質片岩および少量の石英片岩・砂質片岩などからなる。コノドントや放散虫化石の研究から,若いものでジュラ紀後期後半の原岩が確認されている。放射年代は,ほぼ100~70Maである。アルカリ角閃石が産する一方,あられ石やひすい輝石+石英の共生が不安定であることなど,典型的な高・中圧型両変成岩の中間的な鉱物共生を示す(高圧中間群)。石英,斜長石,フェンジャイト,緑れん石,緑泥石などの鉱物は,泥質・塩基性片岩を問わず普遍的に認められる。そして泥質片岩では,変成度が上昇するにしたがい,ざくろ石,黒雲母,ホルンブレンドが順に加わり,炭質物のグラファイト化度は増大する。また,低変成度部の泥質片岩にはローソン石が産する。塩基性片岩には,低温部ではパンペリー石,アクチノ閃石やアルカリ角閃石が,高温部ではバロア閃石やホルンブレンドが出現する。斜長石は,大部分の地域においてアルバイトであるが,最高変成度部にはオリゴクレースが産することがある。石英片岩の一部には,エジリン成分に富むアルカリ輝石が産する。変成条件は,低温部で~400℃・0.5~0.7GPa, 高温部では500~600℃・0.8~1.1GPaと見積もられている。
執筆者:榎並 正樹
参照項目:三波川変成帯
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

