日本大百科全書(ニッポニカ) 「パンペリー石」の意味・わかりやすい解説
パンペリー石
ぱんぺりーせき
pumpellyite
ソロ珪(けい)酸塩鉱物のなかのパンペリー石グループ鉱物の総称で、現在11種類が知られている。もっとも普通に産するのがアルミノパンペリー石で、単にパンペリー石といえばほとんどこの種のことである。苦土パンペリー石と鉄パンペリー石の産出は少ない。マンガンパンペリー石は日本で最初に発見されたものであるが、山梨県下に落合鉱山(閉山)など2か所とイタリアなどに産出例がある。オホーツク石は三価のマンガンをもつパンペリー石グループの鉱物で、北海道常呂(ところ)町(現、北見市)国力(こくりき)鉱山(閉山)から発見された。いずれも板柱状あるいは繊維状で、緑色系統の色をしているが、緑簾(りょくれん)石よりも黄色みが少ない。マンガンパンペリー石とオホーツク石は赤褐色系統の色をして、紅簾(こうれん)石に似る。
アルミノパンペリー石、苦土パンペリー石、鉄パンペリー石は塩基性火成岩、火砕岩(火山砕屑(さいせつ)岩)を源岩とする広域変成岩中に、曹長(そうちょう)石、ぶどう石などと産し、ぶどう石―パンペリー石メタグレイワッケ変成相(ぶどう石パンペリー石相)とよばれる、変成の度合いを指示する重要な鉱物の一つである。また、玄武岩の晶洞にぶどう石や沸石類と産することもある。ほかに曹長岩中に脈をなしたり、熱水変質したアルカリ玄武岩中にも産する。マンガンパンペリー石は、新生代第三紀の層状マンガン鉱床中にブラウン鉱を伴って産する。オホーツク石は、赤鉄鉱を伴う変成岩中に産する。英名は、この鉱物の原産地であるアメリカのミシガン州ケウィーナウ半島の銅鉱床を最初に研究したパンペリーにちなむ。
[松原 聰]