三足器(読み)さんそくき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三足器」の意味・わかりやすい解説

三足器
さんそくき

3本の足をもつ容器類の総称。中国においてもっとも発達したが、西アジアや新大陸の先史時代でも三足の土器が製作された。中国では、鬲(れき)、(き)に代表される太い袋状の中空の足をもつものと、鼎(てい)に代表される棒(板)状の足をもつものの2種に分けられる。鬲と鼎はいずれも底部を加熱するのに便利な煮炊器であり、鬲は普通その上に甑(そう)(こしき)を置いて蒸し器として使われた。早くは新石器時代の仰韶(ぎょうしょう)文化期以前に、丸底の土器に小さな三足をつけた例はあるが、発達した三足をもつ土器は、新石器時代晩期の竜山(りゅうざん)文化期においてもっとも特徴的にみられ、陝西(せんせい)省を中心とする西方では鬲が、山東省など東方地域では鼎とが盛行した。殷(いん)代になると、各地に盛行した三足の土器を祖型とし、新たな器種をも加えて種々の青銅製三足器も製作された。

[西江清高]


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