化学辞典 第2版 「三酸化ニオブリチウム」の解説
三酸化ニオブ(Ⅴ)リチウム
サンサンカニオブチリウム
lithium niobium(Ⅴ) oxide
LiNbO3(147.85).構造が複酸化物でIUPAC規則ではこのように命名する.ニオブ酸リチウムともいう.Nb2O5とLi2O,またはLi2CO3の計算量とを混合,加熱すると得られる.三方晶系結晶.密度4.627 g cm-3.イルメナイト(FeTiO3)型構造で,NbO6とLiO6との各正八面体がO共有で結合した複酸化物.ある範囲でLiの割合がかわる不定比化合物.融点約1250 ℃.空気中で安定である.水,酸やアルカリの水溶液に不溶,フッ化水素に可溶.強誘電体.高電場を印加すると180°反転分極して安定に存在する.キュリー温度1210 ℃.単結晶は,非線形光学材料,光通信変調器,ピエゾ素子,表面弾性波素子(携帯電話用),赤外線検出材,感光剤,マイクロ波変調結晶など多くの用途がある.[CAS 12031-63-9]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報