化学辞典 第2版 「三酸化二窒素」の解説
三酸化二窒素
サンサンカニチッソ
dinitrogen trioxide
N2O3(76.0).亜硝酸HNO2の無水物である.一酸化窒素と二酸化窒素の等モル混合物を低温(-20 ℃ 以下)にするか,硝酸を三酸化二ヒ素やデンプンで還元すると得られる.
2HNO3 + As2O3 → N2O3 + 2HAsO3
融点-102 ℃,沸点3.5 ℃.固体と液体は青色,気体は褐色.液体,気体ともに一部一酸化窒素と二酸化窒素に解離している.アルカリ水溶液にN2O3を溶解すると亜硝酸塩が得られる.中性水溶液では亜硝酸になるが,すぐに分解して硝酸と一酸化窒素になる.亜硝酸塩の製造に用いられるほか,特殊燃料(ロケットなどの推進薬)の酸化剤として用いられる.有毒.[CAS 10544-73-7]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報