ガス分析(読み)がすぶんせき(英語表記)gas analysis

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガス分析」の意味・わかりやすい解説

ガス分析
がすぶんせき
gas analysis

気体状態の物質に対して行う化学分析総称。気体の色、におい、反応性、燃焼性、吸着性、吸収性その他の種々の化学的、物理的性質を利用して気体の定性、定量を行う方法があり、一般に次のような方法が知られている。

〔1〕吸収法 (1)混合気体試料を適当な気体吸収剤で処理して、ある成分だけを選択的に吸収させ容積の吸収減量から成分含有量を知る吸収容積法と、(2)あらかじめ重量を測定しておいた吸収剤に試料気体を吸収させ、その増量から求める吸収重量法とがある。たとえば、水蒸気を含む気体を過塩素酸マグネシウムなどの乾燥剤に通したり、二酸化炭素を含む気体をソーダアスベストのような吸収剤に通して、その重量増加分として水分と二酸化炭素を定量する方法がこれにあたる。

〔2〕燃焼法 可燃性試料に酸素その他を加えて燃焼反応をおこさせ、その際おこる体積変化などから定量する方法である。水素、酸素、炭化水素窒素酸化物の定量などに広く用いられている。

〔3〕滴定法、比色法 気体試料の一定量を吸収液に通じ、吸収液を滴定し、その滴定量から試料成分の含有量を求めるのが滴定法、吸収液による発色を比色定量するのが比色法である。

〔4〕試験紙法、検知管法 比色法の変形で、試験紙法は発色試薬をしみ込ませた試験紙の変色を、検知管法は発色試薬を吸着させたシリカゲルなどを細いガラス管に詰め、試料気体の通過によるその変色を見る方法で、両者とも微量成分検出や半定量が簡便迅速に行える点に特長がある。

〔5〕ガスクロマトグラフィー 気体中と、それに接している固体または液体中との間における物質の吸着または分配力を利用して、物質の分離や分析を行う方法。

〔6〕物理的諸方法 密度、粘度、熱伝導度、反応熱、電気的・磁気的・光学的性質などを測定して定量する方法。

 以上のほか、化学反応に伴って発生するガスを目盛り管に集めてその体積を測定するガス容量分析や、検圧計法をも含めて一般にガス分析とよぶこともある。

[高田健夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガス分析」の意味・わかりやすい解説

ガス分析
ガスぶんせき
gas analysis

気体を対象とする化学分析。各種の気体吸収剤とガスをよく混合し,吸収された量を測定して定量を行う吸収法や,メタンなどに適用される燃焼法,目的成分を単離してガスの容積を測定する方法などがある。燃焼法では酸素とガスを混合して放電し,生成する水や二酸化炭素の分析により組成を決定する。微量のガスの検出には,検知管法が便利である。これにはガスと反応して変色する試薬をシリカゲルに吸わせて細いガラス管に詰めたものを使う。気体を通したとき変色層の厚さ (長さ) から問題の成分が定量される。最近では確認,定量を同時に行うガスクロマトグラフィーと質量分析法を組合せたガスマス法が,複雑な組成のガス分析に用いられ,威力を発揮している。これらは自動化が容易で,化学工業などで広く利用されている。

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