上海閥(読み)しゃんはいばつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「上海閥」の意味・わかりやすい解説

上海閥
しゃんはいばつ

中国共産党内の派閥の一つ。上海派、上海幇(バン)、江沢民(こうたくみん)派ともいう。1989年6月の天安門事件を受けて、上海市党委員会書記だった江沢民が中国最高指導者の党総書記に選ばれた。中央に支持基盤をもたない江は上海時代部下たちを次々と中央入りさせ、一大派閥を形成した。主要なメンバーに呉邦国(ごほうこく)(1941― )、曽慶紅(そうけいこう)(1939― )、黄菊(こうぎく)(1938―2007)、陳至立(ちんしりつ)(1942― )、陳良宇(ちんりょうう)(1946― )、趙啓正(ちょうけいせい)(1940― )などがいる。また、上海時代の部下ではないが、江沢民とともに仕事をした経験がある人物や、江が総書記になってから抜擢(ばってき)した人物も上海閥に数えられることがある。賈慶林(かけいりん)(1940― )、李長春(りちょうしゅん)(1944― )、張徳江(ちょうとくこう)、曽培炎(そうばいえん)(1938― )、周永康(しゅうえいこう)(1942― )などが含まれている。朱鎔基(しゅようき)は江沢民の上海時代の部下だったが、政治スタンスが違うため、上海閥として数えられていない。上海閥は沿海部の経済発展を重要視し、胡錦濤(こきんとう)が推進する内陸部との貧富格差の是正に消極的で、胡が率いる中国共産主義青年団共青団)派と政策面や人事面で対立することが多い。2006年に上海閥のプリンスといわれる陳良宇が汚職問題で失脚すると、影響力が急速に衰えた。

[矢板明夫 2019年4月16日]

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