張徳江(読み)ちょうとくこう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「張徳江」の意味・わかりやすい解説

張徳江
ちょうとくこう / ジャンドォージアン
(1946― )

中国の政治家。遼寧(りょうねい)省出身。江沢民(こうたくみん)派の重鎮として知られる。文化大革命中に吉林(きつりん)省の農村に下放され農作業の経験があり、1972年に北朝鮮に近い延辺(えんぺん)大学で朝鮮語を学んだ。卒業後は大学職員となり、1978年から約2年間、北朝鮮の金日成(きんにっせい)総合大学に留学し経済を専攻。帰国後は延辺大学の党委員会書記となり、北朝鮮と学術交流などを進めた。1983年に政界入りし、延辺朝鮮族自治州党委員会書記、吉林省党委員会書記となる。1997年の党大会で中央委員に選出された後、浙江(せっこう)、広東(カントン)など経済発展がもっとも進んだ省の党委員会書記を歴任した。2007年から政治局委員。翌2008年から工業・交通担当の国務院副総理(副首相)。2011年温州市高速鉄道事故のずさんな対応で評判が下がったが、翌2012年の重慶事件(薄熙来(はくきらい)(1949― )失脚)を受けて、豊富な地方指導者の経験を買われ重慶市党委員会書記を兼務し、情勢を安定させた。2012年秋の指導部交代で、党序列第3位の政治局常務委員となった。2013年春に全国人民代表大会常務委員長(国会議長)に就任した。北朝鮮と太いパイプがあり、政治的スタンス保守派に近いとされる。妻の辛樹森は、大手国有の中国建設銀行の元副頭取。

[矢板明夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

現代外国人名録2016 「張徳江」の解説

張 徳江
チョウ・トクコウ
Zhang De-jiang

職業・肩書
政治家 中国全国人民代表大会常務委員長,中国共産党政治局常務委員 元中国副首相

国籍
中国

生年月日
1946年11月

出生地
遼寧省台安県

学歴
延辺大学朝鮮語系〔1975年〕卒,金日成総合大学(北朝鮮)〔1980年〕卒

経歴
文化大革命で吉林省の農村に下放。1971年中国共産党入党。’72年延辺大学朝鮮学部に入学。’78〜80年北朝鮮の金日成総合大学に留学。延辺大学副学長、延吉市党委副書記、延辺朝鮮族自治州党委副書記などを経て、’86年民政省次官。’90〜95年延辺朝鮮族自治州党委書記、吉林省党委副書記。’92年10月中国共産党第14回全国代表大会で中央委員候補。’95〜98年吉林省党委書記。’97年より党中央委員。’98年〜2002年浙江省党委書記。2002年11月党政治局員。2002年11月〜2007年12月広東省党委書記。2008年3月〜2013年3月副首相。この間、2012年3月失脚した薄熙来に代わり、重慶市党委書記を兼務。同年11月第18回党大会で党政治局常務委員に昇格。2013年3月全人代常務委員長に選任される。太子党の一人。

出典 日外アソシエーツ「現代外国人名録2016」現代外国人名録2016について 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android