上藤中横穴墓群(読み)かみふんじゆうよこあなぼぐん

日本歴史地名大系 「上藤中横穴墓群」の解説

上藤中横穴墓群
かみふんじゆうよこあなぼぐん

[現在地名]長門市東深川 藤中

日本海に面する長門市域周辺は、古墳時代の墓として二つの形態が存在する。六世紀以前は箱式石棺を内部主体とする小規模な墓。三上山さんじようやま古墳群、白潟しらかた小浜山おばまやま古墳群、上ノうえ はら石棺群などが知られるが、いずれも墳丘を有したかは不明である。六世紀後半から七世紀末までは、山腹に穿たれた横穴墓。横穴式石室を内部主体とする、普遍的にみられる後期の墳丘をもつ古墳がまったくみられないことが、当地域の特徴である。

今日までに知られている当地域の横穴墓は四群二一基。なかでも糘塚すくもづか横穴墓群は壺鐙や圭頭・頭椎大刀、銅鈴などの豊かな副葬品とともによく知られているが、大正期に消滅した。上藤中横穴墓群は、現在残る当地域最大の群をなす。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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