上鞠(読み)あげまり

精選版 日本国語大辞典 「上鞠」の意味・読み・例文・類語

あげ‐まり【上鞠】

  1. 〘 名詞 〙 蹴鞠(けまり)作法の一つ。始めに鞠を蹴ること。
    1. [初出の実例]「御賀の鞠つかうまつる事、家に候はねば、故実申(まうし)がたく候。但常の老耄(らうもう)の人の、あげまりのていにこそ候はめ」(出典古今著聞集(1254)一一)

上鞠の語誌

「鞠要略集‐三」に「付鞠於枝事、解鞠事、上鞠事、請取上鞠事、請鞠事」とあるように、蹴鞠を始める一連所作の一つと位置づけられる。つまり、切り枝に一度鞠を結び付けた後、枝から鞠を解き放つ。その鞠を初めに蹴り上げることをいう。鞠を家芸とする者、上手な者がこの役を務め、鞠会で最も名誉な役とされる。たとえば、安元二年(一一七六)三月五日の後白河院五十歳御賀鞠会では、藤原頼輔が上鞠役を命ぜられたが、頼輔はこの役のために院の昇殿を許されている(「玉葉」「安元御賀記」)。また、この時、頼輔が賀茂神主家平に上鞠の故実を尋ねる話が挙例の「古今著聞集」に採られている。


じょう‐きくジャウ‥【上鞠】

  1. 〘 名詞 〙あげまり(上鞠)
    1. [初出の実例]「延喜御時、京中上鞠者、被仁寿殿東庭」(出典:禁秘鈔(1221)上)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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