昇殿(読み)ショウデン

デジタル大辞泉 「昇殿」の意味・読み・例文・類語

しょう‐でん【昇殿】

[名](スル)
許されて神社社殿に昇ること。
平安時代以降、五位以上の者および六位の蔵人くろうどが、家格功績によって宮中清涼殿にある殿上てんじょうに昇ることを許されたこと。→地下じげ殿上人てんじょうびと

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精選版 日本国語大辞典 「昇殿」の意味・読み・例文・類語

しょう‐でん【昇殿・升殿】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 許されて神社の拝殿にはいること。
  3. 平安以後、四位・五位以上の人および六位蔵人(くろうど)が、許されて清涼殿の南面にある殿上の間に登ること。家格や功績によって許されたが、後世はもっぱら家格によって定められた。これを許された人を殿上人といい、許されない人を地下(じげ)という。
    1. [初出の実例]「登東階着座。〈升殿者皆用此階〉」(出典内裏式(833)十一月新嘗会式)
    2. 「上皇御感のあまりに内の昇殿(セウデン)をゆるさる」(出典:高野本平家(13C前)一)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「昇殿」の意味・わかりやすい解説

昇殿
しょうでん

平安時代以後,清涼殿の殿上 (てんじょう) の間にのぼることをいう。昇殿には勅許が必要で,公卿でも勅許なしに昇殿することはできなかった。昇殿を許された者を殿上人,堂上人などと呼び,そうでない地下 (じげ) 人 (→地下 ) と区別した。蔵人は六位で昇殿を許された。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「昇殿」の解説

昇殿
しょうでん

主君の起居する殿舎上に伺候し,身辺の諸務(宿直陪膳など)の奉仕を許されること。内裏・院・女院・中宮・東宮などで行われたが,狭義には清涼殿南庇の殿上の間で天皇に侍する内(ない)昇殿のみをさす。歴史的にも810年(弘仁元)にさかのぼる内裏の昇殿が最も古いものであろう。なお男官の昇殿制が整うにつれ,本来的に側近奉仕を行っていた女官についても,台盤所(だいばんどころ)での伺候が昇殿と把握されるようになったらしい。

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世界大百科事典(旧版)内の昇殿の言及

【貴族】より

…しかも平安中・末期に入ると,公卿が特定の氏族・家系に固定する傾向を急速に強め,〈貴種〉とか〈華族〉などの用語も生まれた。第3は昇殿制の成立である。平安時代も中・末期になると,有位者の増大などによって位階の社会的評価も相対的に低下し,昇殿の制が新しい身分制として重んぜられるようになった。…

【堂上家】より

…〈どうしょうけ〉ともよむが,濁らないのが故実よみである。昇殿をゆるされた家柄の総称で,地下(じげ)に対する称。昇殿は,清涼殿南廂にある殿上の間に昇ることで,古くは個人に対して昇殿をゆるしたが,しだいに昇殿をゆるされる家柄が固定した。…

※「昇殿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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