家庭医学館 「下咽頭梨状窩瘻」の解説
かいんとうりじょうかろう【下咽頭梨状窩瘻 Pyriform Sinus Fistula】
食道入り口部の両側に三角の形をした部分(梨状窩(りじょうか))があります。その三角の頂点の部分に穴(瘻孔(ろうこう))が開いている先天性の病気で、瘻孔に細菌が感染します。
ここは、食物が通るところなので、物理的な刺激とともに、いつも細菌感染の危険にさらされているのです。
感染症状は、瘻孔から離れた甲状腺(こうじょうせん)の部分におこります。急性の甲状腺炎をくり返すようなら、この病気を疑い、外科か耳鼻咽喉科(じびいんこうか)を受診しましょう。
[症状]
発熱、咽頭痛(いんとうつう)(のどの痛み)とともに、頸部(けいぶ)の左右どちらか片側(甲状腺の部位)が腫(は)れます。
瘻孔に気づかずに放置していると、何回も甲状腺の部分が腫れます。
[治療]
造影剤を使って食道をX線撮影すると、梨状窩から下方に伸びた線状の管が写ります。甲状腺シンチグラフィーを行なうと、甲状腺の炎症部位への放射性物質の取り込みの低下がみられます。
治療には、瘻孔を摘出(てきしゅつ)する手術が行なわれます。頸部の皮膚を切開し、甲状腺の炎症をおこした部分から梨状窩の瘻孔までを切除摘出します。