下店(読み)シタミセ

デジタル大辞泉 「下店」の意味・読み・例文・類語

した‐みせ【下店/下見世】

商家などの店先で、蔀戸しとみどの上半分をつり上げ、下半分を前方に倒すようにつくったもの。夜間は上げて、表戸とする。揚縁あげえん揚店あげみせ

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精選版 日本国語大辞典 「下店」の意味・読み・例文・類語

した‐みせ【下店・下見世】

  1. 〘 名詞 〙 商家の店の構えの一つ。店先などでつり上げるように造った縁側。夜間は表戸の代わりになる。揚縁(あげえん)
    1. [初出の実例]「今朝は来にけり此町のあき〈悦春〉 荻の上萩の下見世風吹て〈丨退〉」(出典:俳諧・生玉万句(1673))
    2. 「下見せあげて簾のうちより廿あまりの女房やさしく」(出典:浮世草子・武道伝来記(1687)八)

下店の語誌

( 1 )「下見世」が見世床と戸を兼用するのに対し、戸と兼用して庇(ひさし)代わりになるものを「上見世」という。現在でも高知県安芸郡東洋町付近の町家で、下半分の床几部分を「しもみせ」、上半分の蔀戸部分を「あげみせ」と呼ぶのは、その名残りと考えられる。
( 2 )「あげみせ」は「下見世」と同じ物を指す場合もあり、「随・守貞漫稿‐二」では、いわゆる「下見世」に相当する部分を図示して「上ケ見世」としている。同じ部分を指して、「下見世」とも「あげ見世」とも「あげ縁」とも称していたらしい。(「あげえん(揚縁)」の項の図参照)
( 3 )京都では「下見世」を「ばったり床几」ということがあるが、これは、ばったりと下ろせる(または、上げられる)床几の意と考えられる。

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