守貞漫稿(読み)モリサダマンコウ

デジタル大辞泉 「守貞漫稿」の意味・読み・例文・類語

もりさだまんこう〔もりさだマンカウ〕【守貞漫稿】

江戸後期の風俗誌。全34巻。喜田川守貞著。嘉永6年(1853)成立、その後も加筆。京坂・江戸の風俗を図解して考証したもの。近世風俗研究に重要な資料で、明治41年(1908)に「類聚近世風俗志」の名で刊行

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精選版 日本国語大辞典 「守貞漫稿」の意味・読み・例文・類語

もりさだまんこうもりさだマンカウ【守貞漫稿・守貞謾稿】

  1. 江戸後期の風俗誌。前集三〇巻・後集四巻。喜田川守貞著。天保八年(一八三七)に記録を始め嘉永六年(一八五三)成立。その後慶応三年(一八六七)ごろまで加筆。江戸時代の風俗に関する考証随筆であると同時に、近世風俗の百科事典的意味を持つ大著別名「近世風俗志」は、活版本が出される時つけられた名称

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改訂新版 世界大百科事典 「守貞漫稿」の意味・わかりやすい解説

守貞謾(漫)稿 (もりさだまんこう)

近世後期の風俗誌。喜多川守貞著。30巻,後篇4巻。絵入。別名《近世風俗志》。刊行されることなく原稿で伝わったが,原稿には〈漫〉ではなく〈謾〉の字が用いられている。1837年(天保8)起稿,1853年(嘉永6)脱稿,1867年(慶応3)加筆。内容は,時勢(巻1),地理(巻2),家宅(巻3),人事(巻4),生業(巻5.6),雑業(巻7),貨幣(巻8),男扮(巻9),女扮(巻10・11・12),男服(巻13・14・15),女服(巻16・17),雑服(巻18),織染(巻19),妓扮(巻20),娼家(京坂,巻21),娼家(江戸,巻22),音曲(巻23),雑劇(巻24),沐浴(巻25),春時(巻26),夏冬(巻27),遊戯(巻28),笠(巻29),傘履(巻30),食類(後篇巻1),遊戯(巻2),駕車(巻3),雑器(巻4)。近世風俗研究に欠くことのできない文献である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「守貞漫稿」の意味・わかりやすい解説

守貞漫稿
もりさだまんこう

江戸末期の喜田川守貞による風俗誌的な随筆。守貞は江戸に14年、大坂に30年間居住し、その間に見聞した京坂、江戸の風俗、民間の雑事を詳細に図説考証して書きまとめた。これは1837~1853年(天保8~嘉永6)にわたるものだが、その後慶応(けいおう)(1865~1868)末年まで追書、訂正が施されている。時勢、家宅、人事、生業、貨幣、男服、女服、織染、妓扮(ぎふん)、娼家(しょうか)、音曲、雑劇、沐浴(もくよく)、遊戯、笠(かさ)、食類、駕車(がしゃ)、雑器などの項分けをした30巻余りのもの。江戸時代、とくに後期の風俗を知るうえで貴重な資料であり、1908年(明治41)に『類聚(るいじゅう)近世風俗志』と題して刊行された。

[山内まみ]


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百科事典マイペディア 「守貞漫稿」の意味・わかりやすい解説

守貞謾(漫)稿【もりさだまんこう】

江戸後期の風俗誌。喜田川守貞著。30巻,後編4巻。自序によれば,1837年以来さし絵入りで三都(江戸・大坂・京都)の行事,風俗,市井の雑事等の採録に努め,1853年成立。さらに補筆訂正を行ったむね1867年の追書がある。稿本のまま伝来し,1908年《類聚近世風俗志》として刊行。守貞は1810年大坂に生まれ,本姓石原氏。1840年江戸に出て北川氏をつぎ,深川に住んだという。
→関連項目定斎屋

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「守貞漫稿」の意味・わかりやすい解説

守貞漫稿
もりさだまんこう

風俗随筆。喜田川守貞著。 35巻。天保8 (1837) ~嘉永6 (53) 年成立。自序に「唯古今の風俗を伝へて質朴を失せざらんことを欲す」と執筆の意図を述べている。時勢,地理,家宅,人事など 25門に分けて,京坂,江戸の風俗,人情を古今にわたって記す。明治になって『類聚近世風俗志』の名で出版された。守貞は本姓石原,氏は北川 (喜田川) 。号,季荘,舎山。文化7 (10) 年大坂に生れ,のち江戸に住んだ。風流をたしなんだ人のようである。

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