(1)折りたたみ式の腰掛け。座にひもや皮,布などを張り,脚はX形に組み,持ち運ぶのに便利に作られている。古代から中世にかけては胡床(牀)(こしよう)と呼ばれていた。胡床はすでに古墳時代後期の埴輪にみられ,戦陣や狩場,また宮廷の儀式や貴族の外出用に用いられた。室町時代ころに床几と呼名が変わり,戦陣で将つまり指揮官が掛けるので将几とも書いた。近世の床几は蒔絵(まきえ)や螺鈿(らでん)で飾られたものが多い。
(2)庭や露地に置いて涼みや月見などに腰掛ける細長い台,または寺社の境内などに設けられた茶店などで客が上がったり腰掛けたりする台。前者は幅30cmほどで,竹製が多い。後者は木製で,上面は畳1畳ほどの板張りとなっており,ここに緋毛氈(ひもうせん)や薄縁(うすべり)を延べる。どちらも関東地方では縁台と呼びならわしているが,関西地方では床几と呼ぶ。
執筆者:小泉 和子(3)能,狂言,歌舞伎などの舞台で使われる道具。演能に際し,大鼓方,小鼓方は(1)と同様の床几に腰掛けて演奏する。演奏者自身が楽器とともに折りたたんで携え,登退場する。また能,狂言の登場人物が〈床几に掛ける〉という演出に使われる床几は,実は葛桶(かずらおけ)を用いるのである。歌舞伎の茶店などには(2)と同様の床几が使われる。
執筆者:羽田 昶
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腰掛の一種。
(1)宮廷調度では古く床子(しょうじ)といって、四脚付きの机のような形をし、上面は簀子(すのこ)(桟を張ったもの)からなり、高麗端(こうらいはし)、菅円座(すげえんざ)を敷く。大小によって大床几・小床几といい、塗装の有無によって漆床几、白木床几とよばれた。奈良時代の遺例として正倉院に2基あり、長さ233センチメートル、幅120センチメートル、高さ40センチメートルで、これは『東大寺献物帳』によって、胡粉(ごふん)を塗り、簀子の台上に黒地錦(にしき)端の畳を敷き、褐色地の錦の敷きぶとんと袷(あわせ)の掛けぶとんで2枚をあわせた大きさであることがわかり、寝台とみなされる。
(2)武家の間では、野外の軍陣で帷幕(いばく)のうちの主将の腰掛として用いるが、これは折り畳みのできる胡床(あぐら)の類である。
[郷家忠臣]
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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