下腿骨骨折(読み)かたいこつこっせつ(英語表記)Lower leg fracture

六訂版 家庭医学大全科 「下腿骨骨折」の解説

下腿骨骨折
かたいこつこっせつ
Lower leg fracture
(運動器系の病気(外傷を含む))

どんな外傷か

 幼児ではベッドや椅子からの転落により、下腿に強い回旋力が加わってらせん骨折が起こります。

 10歳以上の年長児では、交通事故やスポーツによる直達外力で横骨折や粉砕(ふんさい)骨折が多くなります。

見落としやすい外傷と合併損傷

 幼児では回旋力による骨折が多いため開放骨折はまれですが、年長児では直達外力による骨折が多いため、開放骨折となることがあります。幼児の転位のない不全骨折(いわゆる「ひび」)は、一方向のX線写真では見落とされることがあります。

症状の現れ方

 局所はれ、痛み、皮下出血、異常な動きを認めます。通常は歩行が不可能となります。

 幼児の不全骨折では、骨膜が厚いので転位が少ない場合はわずかなら歩けることがあります。

検査と診断

 局所症状とX線写真で容易に診断可能です。幼児の不全骨折で転位がほとんどない場合は、骨折線がはっきりしないことがあります。この時は数日後にX線写真を再度撮影するとはっきりします。

治療の方法

 保存療法を行います。転位のみられる場合は、徒手整復してから外固定を行います。はれが強い場合は副木固定を1週間ほど行い、その後ギプス固定します。幼稚園児までは3~4週間、小学生以上では5~6週間固定します。

 年長児では、ギプス固定の後半はギプスを付けたまま歩行ができるPTBギプスに巻き変えて、ギプス歩行することもあります。

 骨片の転位による変形短縮は、1横径の側方転位、20度までの関節の運動方向と同じ側の屈曲変形、1㎝までの短縮は自家矯正(じかきょうせい)が可能です。

応急処置はどうするか

 骨折部を副木で固定して動かないようにします。体を起こさずに横にしたまま運びます。

関連項目

 骨・関節の外傷総論

鈴木 克侍

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「下腿骨骨折」の解説

かたいこつこっせつ【下腿骨骨折 Fracture of Leg】

[どんな病気か]
 交通事故などで骨に大きな外力(直達(ちょくたつ)外力)を受けた場合や、スキー時の転倒などで骨に捻転力(ねんてんりょく)のはたらいた外力(介達(かいたつ)外力)を受けておこる比較的多い骨折です。下腿には腓骨(ひこつ)と脛骨けいこつ)がありますが、加わる外力の大きさと方向によって、2本とも折れる場合と、どちらか1本だけの場合とがあり、骨折の状態もさまざまです(「治療」は「◎骨折の症状参照)。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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