家庭医学館 「骨折の症状」の解説
こっせつのしょうじょう【骨折の症状】
変形がおこることもあります。
周辺組織に損傷がある場合は、それに一致した症状が出ます。
血管損傷では、内出血(ないしゅっけつ)や循環障害が、末梢神経(まっしょうしんけい)損傷では、知覚脱失や過敏などが出ます。周辺臓器に骨折片が刺されば、その臓器からの出血や内容のもれによる症状が出ます。
また、大腿骨(だいたいこつ)などの大きな骨が折れると、骨髄(こつずい)や周辺組織から脂肪が遊離して血管に流れ込み、血管がつまることがあります。これを脂肪塞栓(しぼうそくせん)といいます。
さらに、開放性骨折などで感染をおこすと骨髄炎(こつずいえん)をおこす危険もあります。
◎骨折の応急手当
骨折が疑われた場合は、まずその部位が動かないように固定し、冷やすことが第一です。骨折しているかどうかわからないときは、骨折しているものとして手当します。そして、医療機関に担送(たんそう)します。
固定には、身近にあるかたくてじょうぶな棒状のもの(パイプや定規、木の棒、ボール紙や厚紙など)をそえぎ(副木(ふくぼく))として当て、副木の上下をしばって行ないます(「手足のけがの手当」の骨折が疑われるときの手当)。
◎骨折の治療の原則
骨折の治療は、骨折した部位を正常な位置関係にもどす整復と、骨の修復が行なわれるまでの固定が原則です。
その後、必要に応じてリハビリテーションが行なわれます。
●整復
手で引っ張る用手牽引整復(ようしゅけんいんせいふく)と、器具を用いる牽引などの方法があります。必要な場合は、手術で骨折端が整復されることもあります。
整復後に固定が行なわれます。
●固定
外固定といわれる、ギプスなどで固定する方法と、内固定といわれる、手術で骨に金属板をねじで取りつけたり、金属棒で骨を串刺しにする方法などがあります。また、創外固定といい、骨折片を串刺しにした金属棒を体外で固定する方法もあります。
これらの方法は、骨折部位、種類、程度によって選択されます。
高齢者の大腿骨頸部骨折などでは、早い時期に人工骨頭(じんこうこっとう)などの人工骨を移植することもあります。
●リハビリテーション
リハビリテーションは、骨折のために、あるいは治療期間に動きが悪くなった関節のために行なわれます。
ただし、治療期間中、必要以上に安静にしたために運動不足となって、骨折治癒後(ちゆご)に筋肉の萎縮(いしゅく)などの問題が出ることを防ぐため、早期から行なわれるのがふつうです。