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世界システム論 せかいシステムろんtheory of the world-system

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

世界システム論
せかいシステムろん
theory of the world-system

近代以降の世界全体を単一の社会システム,すなわち世界資本主義体制としてとらえ,その生成・発展の歴史的過程を究明することによって,さまざまな政治経済的諸問題,とりわけ国家間関係,経済的な支配・従属,世界秩序の構造と変動などを全体的に究明しようとする理論。アメリカの歴史社会学者 I.ウォーラステインによって創始された。まず世界をアメリカおよび他の工業諸国から成る「中心」と,発展途上国から成る「周辺」に分けた上で,前者によって後者が搾取され,さらに両者によってその周辺が搾取されているとする。富める国々は,周辺地域から稼ぎ出した余剰のうちわずかな部分しか周辺地域に配分しない。他方,周辺に属する国々にも「周辺の中心」,すなわち世界経済システムの中心に位置する外国資本と結びついた特権階級民族ブルジョアジーが存在する。このように世界を素描する世界システム論は,明らかにマルクス主義的な考え方を下敷きにしている。ここには,国家間に固有の競争や対立への言及はなく,資本主義社会における階級闘争の分析が世界全体に拡大・適用されるのである。

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知恵蔵の解説

世界システム論

米国の社会学者・歴史学者ウォラーステイン(I. Wallerstein、1930〜)の提唱した15世紀以降の世界政治・経済の分析。彼の世界システムとは、歴史の長期的変動の底流に資本主義世界経済を置き、それが政治的権威を多元的に分散させた主権国家や植民地などを、国際分業体制に組み込んでいく歴史過程の動態。世界を中心、準周辺、周辺に区分し、準周辺による経済・技術力の獲得がヘゲモニー交代の前提で、変動の主起動因だとする。◇I.ウォラーステイン『近代世界システムI・II』(1981年、岩波書店)

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

大辞林 第三版の解説

せかいシステムろん【世界システム論】

慣習的に国家を単一のシステムとみてきた従来の発想に対し、世界全体を単一の社会システムとみなし、その内部構造を、国際分業・中心・周辺といった分析概念を用いて把握しようとする立場。

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世界大百科事典内の世界システム論の言及

【経済史学】より

…すなわち,一方で,歴史事象の数量的・統計的把握,とりわけ計量経済学モデルによる検証を試みる〈新しい経済史〉(数量経済史,計量経済史)の台頭があり,他方では制度史的接近や社会史・生活史の立場,経済人類学あるいは歴史人口学的アプローチなどが存在する。さらに,世界資本主義論など,経済史研究における国際的契機の強調,とりわけ,旧植民地諸地域における〈低開発の発展〉を重視しつつ,総じて16世紀以降の各国経済史を世界市場における〈支配と従属〉の変遷史として総括し再構成しようとする従属学派ないし世界システム論も注目を集めている(従属論)。 ともあれ,歴史は〈過去と現在の対話〉であり,経済史も過去の経済現象のうちから現在的問題関心から重要と思われる事実や関係を選択し,歴史像として構成し叙述する。…

※「世界システム論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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