日本大百科全書(ニッポニカ) 「中国時報」の意味・わかりやすい解説
中国時報
ちゅうごくじほう / チョングオシーパオ
台湾の朝刊総合紙。英文表記China Times。『聯合報(れんごうほう)』『自由時報』などとともに有力紙とされてきた新聞。ブランケット判。本社所在地は台北(たいほく/タイペイ)市。
『中国時報』の前身は、1950年10月に「物資調節委員会」の出資により創刊された経済情報紙『徴信新聞』。1951年4月、江蘇(こうそ/チヤンスー)省出身で大学教授や新聞処処長などを務めた余紀忠(よきちゅう/ユジチョン)(1910―2002)が同紙の発行を個人で引き受け、1960年1月『徴信新聞報』と改題するとともに日刊総合紙化。さらに1968年9月『中国時報』に改題した。戒厳令下でも、着実に部数を拡大し、1968年には台湾新聞界初のカラー印刷も実現。1988年戒厳令解除後も経営は順調だったが、有線テレビの普及やインターネットの勃興(ぼっこう)、大衆紙『蘋菓(ひんか)日報(アップルデイリー)』との競争激化などにより経営不振に陥り、2008年11月、中国でもビジネスを展開する台湾の菓子メーカー大手・旺旺(ワンワン)集団のオーナー、蔡衍明(さいえんめい/ツァイエンメン)(1957― )に買収された。
余氏ファミリーによる経営時代、同紙の論調は、中台関係では中立・中間的なものであったが、蔡衍明による買収後は、明確な親中路線に転換した。
発行部数は公表されていないが、アメリカのマーケティングリサーチ会社であるACニールセンによれば、2013年時点の中国時報の閲読率は4.3%(トップの『蘋菓日報』は15.2%)である。
[木原正博 2016年4月18日]