陶磁器の原料となる粘土。もとはヨーロッパ大陸およびイギリス南西部コーンウォール地区に産し,水簸(すいひ)精製によって得られるカオリンで陶磁器原料となる粘土を呼ぶ名称であったが,しだいにその用途によって堆積性の粘土にも用いられるようになり,現在では日本の木節(きぶし)粘土,蛙目(がえろめ)粘土にもこの名称が用いられている。良質のものでは白色で可塑性が高い。また成型した場合の乾燥収縮も少なく,陶磁器原料に適した性質をもつ。ただし木節粘土のように炭質物の混在により灰黒色を示すものでも,焼成により揮発して白色となる場合は問題とはされない。焼成後の白色度の高いことも必要である。鉄分の含有は色調に悪影響を及ぼす。花コウ岩質岩石の風化分解作用,堆積,続成作用により生成する場合が多いが(ドイツ,フランス,チェコ,スロバキアなどの産地),気成作用,変水作用による分解で生成したもの(イギリスのコーンウォール地方の産地)もある。日本国内では岐阜県,愛知県にわたる瀬戸・多治見地区の花コウ岩を原岩とする風化,運搬,堆積作用による木節粘土,蛙目粘土などの例がみられる。なお原岩の一部には結晶片岩などが含まれている例もある。
執筆者:湊 秀雄
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陶磁器製造に用いられる粘土の総称。基本的な粘土はカオリン、可塑性粘土(蛙目(がいろめ)粘土と木節(きぶし)粘土)、炻器(せっき)粘土、焼成色の白い粘土、および赤色~黄色に焼ける粘土である。
[素木洋一]
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