日本大百科全書(ニッポニカ) 「スメドレー」の意味・わかりやすい解説
スメドレー
すめどれー
Agnes Smedley
(1892―1950)
アメリカのジャーナリスト。ミズーリ州北部の貧農に生まれ、女工などをしながら、18歳で臨時教員の資格をとる。20歳で結婚したが、まもなく離婚。サン・ディエゴ師範学校、ニューヨーク大学夜間部で苦学する。1918年、インド独立運動家を助けたために逮捕され、3か月入獄、釈放後、処女作『刑務所の仲間たち』(1919)を出版。1919年ドイツに渡り、インド人革命家チャトパジャーヤV. Chattopadhyaya(1880―1941)と恋愛、8年間生活をともにする。1928年『フランクフルター・ツァイトゥンク』紙特派員として中国に渡り、これより12年間八路軍に従い、その活動を現地報道する。この間、尾崎秀実(おざきほつみ)と懇意になるが、1941年末に帰米。第二次世界大戦後、アメリカの反共化が進むにつれ圧迫が強まり、1949年にはゾルゲ事件に関連した容疑を受けた。同年秋、中国行きを目ざしてロンドンに渡ったが、1950年5月6日病没。遺言により、北京(ペキン)西郊八宝山の革命墓地に納骨された。朱徳の伝記『偉大なる道』が遺稿となり、1955年世界に先駆けて日本で出版された。ほかに自叙伝『女1人大地を行く』(1929)、『中国は抵抗する』(1938)、『中国の歌ごえ』(1943)などがある。
[鈴木ケイ]
『高杉一郎訳『中国の歌ごえ』(1957・みすず書房)』▽『阿部知二訳『偉大なる道』全2冊(岩波文庫)』▽『尾崎秀実訳『女1人大地を行く』(角川文庫)』▽『石垣綾子著『新版 回想のスメドレー』(1976・みすず書房)』