改訂新版 世界大百科事典 「中層大気研究計画」の意味・わかりやすい解説
中層大気研究計画 (ちゅうそうたいきけんきゅうけいかく)
Middle Atmosphere Program
通称MAP(マツプ)。全地球規模にわたって中層大気(地上10~120kmの気層)の運動,組成,放射などの状態を明らかにしようとする国際協力事業。本計画は,地球大気研究の一環として国際学術連合会議(ICSU)が提案した四ヵ年計画(1982-85)として発足した。
中層大気は,従来適当な観測法がなかったため,理解が非常に遅れていた領域であったが,近年のリモートセンシング技術の著しい発展に支えられてこの未知の領域に観測研究の道が開かれた。この計画では,中層大気の風系と波動,中層大気の組成,エーロゾルと放射,南極中層大気の総合観測,データ解析とモデリングを研究観測の主要テーマとして取り上げられた。中層大気の研究は気象学と超高層物理学の境界領域にあたり,地球環境の総合的理解はもとより,気候変動や大気環境の諸問題の解明にも大いに貢献している。
執筆者:新田 尚
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報