国際学術連合会議(読み)こくさいがくじゅつれんごうかいぎ(英語表記)International Council of Scientific Unions

改訂新版 世界大百科事典 「国際学術連合会議」の意味・わかりやすい解説

国際学術連合会議 (こくさいがくじゅつれんごうかいぎ)
International Council of Scientific Unions

通常ICSUと略称される。各国の主要な学術機関や自然科学に関する国際的な学会連合を相互に連絡調整するための組織として1931年に発足した。第1次大戦後の1919年,アメリカ,イギリスフランスイタリアベルギーアカデミーの呼びかけを契機設立された国際研究協議会International Research Council(略称IRC)が,31年に改組されてICSUとなった。第2次大戦後,ICSUは国際連合教育科学文化機関(UNESCO)と協定を結び,国際的な学会連合の代表機関として認知されて財政的な援助を受けるようになり,本格的な活動を開始した。事務局はパリにある。83年現在,67ヵ国の代表的な学術機関と18の国際的な学会連合がICSUに加盟している。ICSUに加盟している学会連合には次のようなものがある。国際天文学連合(略称IAU,1919創立。以下同様),国際地理学連合(IGU,1923),国際数学連合(IMU,1952),国際生化学連合(IUB,1955),国際生物学連合(IUBS,1919),国際結晶学連合(IUC,1947),国際測地学・地球物理学連合(IUGG,1919),国際地質学連合(IUGS,1961),国際免疫学連合(IUIS,1969),国際栄養学連合(IUNS,1946),国際薬理学連合(IUPHAR,1959),国際生理学連合(IUPS,1953),国際理論・応用生物物理学連合(IUPAB,1961),国際純正・応用化学連合(IUPAC,1919),国際理論・応用物理学連合(IUPAP,1922),国際電波学連合(URSI,1919),国際科学史・科学哲学連合(IUHPS,1954),国際理論・応用力学連合(IUTAM,1947)。ICSUは次のような特別委員会を設置し科学技術をめぐる広範な問題に取り組んでいる。科学技術のためのデータ委員会(略称CODATA,1966設置。以下同様),発展途上国のための科学技術委員会(COSTED,1966),宇宙研究委員会(COSPAR,1958),科学教育委員会(CTS,1961),南極研究委員会(SCAR,1958),海洋研究委員会(SCOR,1957),環境問題科学委員会(SCOPE,1969),太陽・地球物理学科学委員会(SCOSTEP,1966)。ICSUは,2年に1度,加盟機関の代表者による合同会議を開いて,運営方針を決定している。19世紀のフランスの科学者L.パスツールは〈科学には国境はない,しかし科学者には国籍がある〉と述べた。IRCやICSUの設立は〈科学には国境がない〉ことを反映しているが,実際の運営では,〈科学者には国籍がある〉ために,加盟国のナショナリズムや加盟学会の利害が対立する場合もある。社会科学については,ICSUに対応する組織として国際社会科学協議会International Social Science Council(略称ISSC,1952創立)がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際学術連合会議」の意味・わかりやすい解説

国際学術連合会議
こくさいがくじゅつれんごうかいぎ
International Council of Scientific Unions

1919年発足の国際学術研究会議International Research Council(IRC)を前身として1931年に設立された、非政府、非営利の国際学術機関。略称ICSU(イクス)。1998年4月、国際科学会議International Council for Scienceに改称された。

[編集部]

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知恵蔵 「国際学術連合会議」の解説

国際学術連合会議

1931年に設立された非政府、非営利の国際学術機関。国際数学連盟などの国際的な学会組織と全米科学アカデミー、ロンドン王立協会などの国家アカデミーで構成される。日本からは、日本学術会議が国家アカデミー会員として加入している。事務局はパリにある。国際地球観測年(IGY、1957〜58年)や世界気候研究計画(WCRP、80年〜)、地球圏・生物圏国際共同研究計画(IGBP、86年〜)といった大規模な国際共同研究計画を単独で、あるいはユネスコなどの国際機関と共同で実施してきている。

(高橋真理子 朝日新聞記者 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国際学術連合会議」の意味・わかりやすい解説

国際学術連合会議
こくさいがくじゅつれんごうかいぎ

国際科学会議」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の国際学術連合会議の言及

【科学者憲章】より

…この憲章は,前文と7章52項から成り,科学者の責任を明確にする一方で,科学者の地位や科学者をとりまく諸条件について,かなり具体的な提案も行っている。また国際学術連合会議(ICSU)も,科学者は一般市民としての義務に加えて,特別の責務を負っていること,そしてその責務を果たすためにどのような権利を主張すべきかなどをめぐって,49年独自の科学者憲章を採択している。さらに日本学術会議も,科学研究の担い手としての科学者の主体性の確立と,それに伴う社会的責任の明確化を目指して,80年科学者憲章を採択した。…

※「国際学術連合会議」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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